首都圏の鉄道では、新型コロナウイルスの感染対策として、車内の空気を入れ替えるために窓を開けたまま走行している。冬のこの時期も、気付けば窓はちょっぴり開いているようだ。
では、寒さが厳しい地域の鉄道の対応はどうだろうか。最近まで近年まれにみる大雪に見舞われた北陸地方や、寒冷地の北海道の状況を取材した。窓から冷たい風が車内に吹き込んできたら、乗客は我慢しきれるのか――。
日中でもマイナス10度、工夫して換気
鉄道事業者らで構成される「鉄道連絡会」が20年5月に策定した新型コロナ対策ガイドラインは、車両の空調装置などによる換気を呼びかけている。またこうした装置が備わっていない場合には、「窓を開けることも含めて適切に換気を実施する」ことを求めている。
豪雪地帯の北陸。福井県や石川県を走る北陸本線について、JR西日本金沢支社に取材した。広報室の担当者によると、空調装置による換気を行っているほか、冬場でも車両ごとに一部の窓を開放しているという。
一方で、窓は乗客の判断で閉めることができる。「この寒い時期は、閉まっていることの方が多い」とした。また、悪天候の場合には最初から窓を閉めて出庫しているという。一方で、窓が閉まっている場合には空調による換気を実施している。
JR北海道の各路線も気になる。広報部の担当者は「窓を開けての換気は行っていません」と語った。他の対策について聞くと空調設備により換気ができる車両については、おおむね15分おきに5分以上換気を実施しているという。
同社の公式サイトによると、乗降ドアを開放しての換気も行われている。ただし、札幌圏の一部電車には換気設備がないとも。こうした電車は、客室と乗降用ドアをへだてる「仕切り戸」を開放し、車内換気を行っていると説明している。
札幌市を走る路面電車「札幌市電」を運営する、札幌市交通事業振興公社にも話を聞いた。電車事業所の担当者は「うちの電車は古いので、換気のシステムはありません」と明かした。ただ、車両ごとに換気を行うための窓は備わっており、開放している場合があるという。
一方で降雪時や「あまりに気温が低い」時には窓を閉めて運行しているとも。担当者によると、「最近は結構寒くて、日中でもマイナス10度近くになることがある」。また、他の換気手段として、停留時にドアを開放する時間を長くしていることを挙げた。