無駄に戦わない
コロナは経済を停滞させ、収入や雇用などで個々を締め上げた。健康への心配に加えて生活への不安。いつ終わるとも知れない重苦しい日々。ただし、上記のアドバイスからもうかがえる通り、ジェーンさんのスタンスは「無駄に戦わない」というものらしい。
彼女は同じ号の巻頭連載インタビュー「The Turning Point ~私が『決断』したとき」にも登場、新型コロナを「気になってはいるけどすぐにはどうにもならない腰の上のぜい肉」にたとえている。
「2020年は、世界中の人が等しく不安定でままならない、世にも稀な年でした...でもこれって、自分ひとりだけで解決できるわけがないんですよね。それを解決しようとするから焦るし、イライラする」というわけだ。
モヤモヤするのが当然で、それにキリキリしていたらみんな心身をやられてしまう。ならば禍(わざわい)を転じて福となすの例え通り、自分本来のペースやリズムを取り戻すチャンスと、前向きに受け止めてはどうか...それが彼女の一貫したメッセージだろう。
コロナ対策の元締め、真剣に戦うべき政府や知事が脳天気なのはまずいが、国民には心身の安定を保つための「楽観」が許される。もちろん、そのためには衣食住が足りていることが前提だろう。やるべきことをせずに「自助」を強いる為政者は論外だ。
冨永 格