老荘思想とインドの伝統思想
野に咲く花は美しいが自我はない。老子の道教は、道とは無為自然な状態で全ての根源だと考える。区別のない混沌と現実を区分してさらに専門化しようとする近代科学とは世界観が違う。自我を発揮して目標を実現するのではなく自然な流れに身を任せる人生観だ。思考を空っぽにしてあるがままの音楽を聴きあるがままに生きることを奨励している。
インドの伝統思想では永遠の根源生命をブラフマンと呼び、生きとし生けるものにあふれ出す根源的生命をアートマンという。修行ではまずアートマンを感じてそれをブラフマンと一体化する。自己と宇宙の一体化だ。現象とその背後にあるイデア、創造神と人間をはじめとする創造物といった二元的区分はない。