キーワードは「個性が楽しめ、健康的で、ホッとする」
――では、2021年は日本でどんなチョコレートが流行ると予想されますか?
市川 まず、いろんな産地のカカオを楽しめるBean to Barチョコレートは主にチョコ愛好家を中心に今後も流行ると思います。次に、健康志向のチョコレート。新型コロナの影響で、皆さん健康意識が高まっているかと思います。カカオは健康効果が期待できる食べ物のため、とくに70%以上のハイカカオのものを選ばれる方は今後も増えそうです。最近はカカオ70%以上でも各メーカーの努力によって苦みや渋みの少ないおいしいものが出ていますよ。そして、「心がホッとするようなお菓子的チョコ」。コロナ禍で緊張感のある中、チョコパイやクッキーのチョコがけなど、なんとなく心温まる要素のあるような、チョコ菓子みたいなものを求める人は引き続き多くなるのではないでしょうか。
――なるほど。ホッとするようなチョコとは、具体的に?
市川 賞を取ったから、世界一だから、など外の評価とは関係なく「私が気に入っているから」、「私が食べるとホッとするから」といった「私基準のチョコ」でしょうか。日本人基準のチョコ、といってもいいかもしれません。私自身、今年は新型コロナの影響で渡航もすべてキャンセルに。在宅時間が増え、海外のエッジの効いたチョコレートより馴染みのある味のチョコを求めた時期がありました。人が新しいものにチャレンジできる時は余裕があるときで、そうでない時は「安心・安定」を求めてしまう傾向は、やはりありますよね。心の状態とチョコの選び方は関係していると思うんです。