菊花賞組か、春天組か、それとも
カスヨ まあ、爺の見立てはあくまで一つの見方よ。わたしの見方は、ともかく有馬記念は長距離戦だという点ね。過去の勝利馬をみると、圧倒的に菊花賞(GI、京都、3000メートル)か春の天皇賞(GI、京都、3200メートル)を好走した馬が多いのよ。その理由は爺が説明したように独特のコース形態にあるわね。起伏があって、しかも馬場も荒れているというコースだから、スタミナ、パワー、スピードの3拍子が揃ってないと勝てないのよ。フィエールマンはね、菊花賞、天皇賞(春)連覇と長距離GIを3勝している実績馬よ。昨年は凱旋門賞帰りで本調子でないにもかかわらず、アエロリットが作り出したハイペースのなか、3コーナーからロングスパートをかけて4着に粘りこむ競馬をしていたわ。天皇賞(秋)では上がり最速の、目の覚めるような末脚でアーモンドアイにあと一歩まで迫るといった切れ味も兼ね備えていて、混戦といわれる今回のメンバーでも1枚抜けていると思うわね。鞍上もルメールちゃん(クリストフ・ルメール騎手)に戻り、年間GI最多勝利更新という記録で1年を締めくくるはずよ。
カス丸 うーん、こっちも強そうきゃすう。爺の対抗〇はカレンブーケドールだじぇい。
ガジュマル爺 カスヨの話に付け足すと、前走ジャパンカップ(JC)というのも有馬記念には強いんじゃ。たとえば、6年前に勝ったジェンティルドンナじゃな。JCでは1番人気を背負ったんじゃが、4着。引退の一戦に有馬を選んで、初めての中山だったんじゃが見事リベンジしたんじゃ。3年前に勝ったキタサンブラックもそうじゃな。同じようにJCで1番人気で3着。リベンジの有馬で優勝じゃ。カレンブーケドールはJCで4着。1~3着が3冠馬だったんだから、相手が悪かったとしか言いようがないんじゃが、JCでもう少しという馬が好走する、というパターンにぴったり当てはまるわけじゃ。この馬は逃げて良し、差して良しの自在性がある。瞬発力もある。なんでGIを勝てないのかが不思議なくらいなんじゃ。2走前にオールカマーを使い、エリザベス女王杯をスキップしてJCに挑戦。JCが明らかにたたき台で、それでも4着に踏ん張るあたりがこの馬の凄さなんじゃ。アーモンドアイを管理していた国枝栄厩舎が、乗りなれた津村明秀騎手から、2018年にブラストワンピースでこのレースに勝った池添謙一騎手にスイッチして必勝を期しておるから楽しみじゃな。
カス丸 有馬記念は牝馬より牡馬の優勝が多いけど、最近は牝馬が強いきゃすう。カスヨさんの対抗〇も牝馬ラヴズオンリーユーだじぇい。
カスヨ この馬もなんで勝てないのか不思議なのよね。昨年のオークス以来勝ち星からは遠ざかっているんだけど、前走エリザベス女王杯では3着と復調をみせてきてるわよ。春はドバイ遠征が中止となり本調子ではなかったんだけど、前走を叩かれて状態は上向きよ。初の中山、初の2500メートルと克服しなければならないハードルはあるんだけど、「状態はオークス時に近い状態に戻っている」と調教師も強気よ。今回は人気が落ちることも予想されるから穴党のわたしとしては絶好の買い時ね。暮れの大一番で復活を期待してるわ。