ジョンソン・エンド・ジョンソン メディカル カンパニー(東京都千代田区)は、「健康診断・人間ドック、がん検診に関する意識調査」を実施。2020年11月25日に結果を公表した。
調査から、新型コロナウイルスの影響を踏まえて健康診断やがん検診の受診を避ける人の割合や、理由などが明らかになった。
「コロナの感染リスクがあるから」検診避ける
調査対象は、全国の20~79歳の男女1万5000人。
まず、緊急事態宣言が出された20年4月以降の健康診断とがん検診の受診の意向について。4月~6月の期間で健康診断については53.6%が、がん検診は56.9%が「控えたい(控えたかった)」、「やや控えたい(控えたかった)」と回答した。また、2021年度に「控えたい」という人は健康診断(30.7%)とがん検診(33.9%)の両方で3割以上を占めた。
20年10月末時点で健康診断の未受診者に受診しない理由を尋ねたところ、全体では「コロナの感染リスクがあるから」が最も多かった(26.9%)。今年度は受診せず、来年度受診予定の人(1333人)に限ると、43.1%とさらに割合が上がった。
一方で、健康診断を今年度受診した、もしくは今年度中に受診予定の人を対象に理由を聞いたところ、54.9%が「これまでも定期的に受けているから(検査を休みたくない)」と回答した。がん検診の受診理由においても同様の傾向がみられた。
しかし、本調査では20年4月以降、日常生活で体調不良や異常を感じても、36.1%が医療機関への受診を「一時控える(控えた)」あるいは「現在も延期」していることも明らかになった。
調査は20年10月23日~26日にインターネット上で実施した。
身の回りにある健康リスクについて正しい知識をバランスよく持つ
J-CASTトレンドの取材に答えた産業医で経済産業省の臨時専門アドバイザーも務める岡原伸太郎氏は、新型コロナの感染リスクを恐れて健康診断やがん検診を受診しないことについて「新型コロナウイルス感染症以外の健康問題にも、意識して目を向けることが必要」だと話す。「科学的なデータを見ると生活習慣病やがんなどの病気は新型コロナウイルス感染症と同じかそれ以上に『誰しもかかる可能性があり』、『かかった場合に重篤になる可能性がある』と考えるのが適切」とも。
しかし、人の関心は新型コロナという大きな危機に集中しており、情報を提供する側もその関心に応えようと情報が偏りがちになってしまう、と指摘。それが更に人の関心や不安を増強してしまうため、専門家やメディアは不安や注意の対象が極端に偏りすぎないよう情報発信する必要がある、と分析した。
今後新型コロナを踏まえながらも健康診断の受診率を高めていくには「多くの人が新型コロナウイルス感染症だけでなく、身の回りにある健康リスクのことについて正しい知識をバランスよく持ち、それらに対して正しく怖がるということが重要」と強調する。そのためには
「医療や予防の専門家や医療従事者の方々が病気に関する正しいリスク情報や安心できる情報を広く社会に伝えていくことも必要」
だとした。