新型コロナウイルスの新規感染者数が増え続けている。政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会は2020年10月23日に「大人数、例えば5人以上の飲食では、大声になり飛沫が飛びやすくなるため、感染リスクが高まる」と政府に対して提言している。
分科会は少人数での飲酒を呼びかけているが、依然として大人数で飲み会が開かれているようだ。感染状況が悪化している中でなぜ参加するのだろう。東京都に住む20代の男子大学生2人に取材した。
「『若者にはただの風邪』くらいに思っている」
1人は、11月下旬に知人の結婚祝いで飲み会に招かれたという男性。会場には30人弱の参加者がいたという。最近では、「友人の家で6人で飲み会をしました」とも。そのほか、2〜3人程度で週に1〜2回、居酒屋を利用しているという。なぜ、しょっちゅう飲み会に出かけるのだろう。
「周りでイベントがなくて暇で飲むくらいしかやることがない。多い方が楽しいので、人数を集めてしまいます」
感染に対する恐怖心はあるか質問すると、「一人暮らしで高齢者が身近にいないので、特にないです」とした上で、「感染する可能性は十分にあると思いますけれど、『どうせ無症状か軽く発熱するくらいでしょ』とも思っています」と心境を明かした。
とはいえ、4月から5月の緊急事態宣言中には感染状況に対して緊張を感じ、飲み会も自粛していたという。当時と比較すると、現在の方が感染者が増えているが、警戒心はなぜ緩んだのだろうか。
「緊急事態宣言も一度解除されて、GoToなども始まって『もう遊んでいい』と認められた気がしています。今さら感染者が増えたと言われても、『それはそうだろうな』としか思わず、緊張感はないですね」
最後に、「コロナは『若者にはただの風邪』くらいに思っていますし、一人暮らしで飲み会がなければ気分が沈みます。一番大きいのは、『コロナにかかっても死なないじゃん』というところですかね」と語った。
「どうせ自分以外も同じ考えだろう」
もう1人の男性は12月に「15人規模」の飲み会に2回出席した。そのほか平均2〜4人程度の人数で、週に2〜3回、居酒屋に行っているという。なぜ15人もいる飲み会へ参加するのか聞いた。
「人数が多くなると感染するリスクが大きくなることは分かっていますが、酒が飲みたいという気持ちの方が大きい。また近頃は飲み屋も空いているため、快適に飲めます」
緊急事態宣言中と比べても「GoTo」キャンペーンが続いていたことなどを理由に、飲みに出ることについて「ハードルが下がった」と感じているからだという。
「これまでに近親者が1人も感染していないこともあり、『いうほどかからないんじゃないか』という甘い考えもあります」
今後感染者がさらに増えた場合、大人数の飲み会への出席を自粛することはあるか聞いた。
「ないです。コロナにかかっても重症化しないだろうと感じていますし、アルバイトなどでどっちにしろ不特定多数と会わなければならないので。週に2、3回飲み会に行ったところで変わらないのではと思っているからです。また、どうせ自分以外も同じ考えだろう、と」
都内の感染者数は、年代別では20代が最も多く、1万4000人を超えている。確かに亡くなるのは高齢者が多いが、味覚、嗅覚の異変や、身体のだるさなどの後遺症を抱える人が少なくないという調査結果も報告されている。記者が聞いたのは二人だけなので、若い世代の全体の傾向を示すものとは言えないが、「楽観的な考え」を持つ人が少なくないことを改めて知った。