日本海側を中心に大雪が続いており、2メートルを超える積雪となった地域も出てきた。きょう2020年12月17日には、新潟県湯沢町の「かぐらスキー場」で、スノーボーダーの女性が誤って新雪にはまり転倒し、窒息死した。毎日新聞の記事によると、女性は「コース内」を滑っていた。
日本雪崩ネットワークの公式サイトには、フカフカの新雪は空気をたくさん含んでおり、降った直後であれば、「90%が空気で雪結晶は10%程度」とある。ではなぜ、窒息してしまうのか。同団体に取材した。
起き上がろうと手をついてもズブズブと...
「新雪はフカフカなので、起き上がろうと手をついてもズブズブと雪の中に沈んでいきます。パニックに陥ってもがいているうちに、雪が口の中に入ってきて気道を塞いでしまう。新雪に埋もれて亡くなるケースは、基本的に『窒息死』です」
日本雪崩ネットワーク担当者は、こう説明した。外傷や低体温症による死亡例もあるが、少ないという。同団体の公式サイトには「窒息のメカニズムの詳細は把握されていませんが、雪や食べ物による気道閉塞、首の屈曲による体位性窒息、アイス・マスキング(編注:口の周りにできる氷の膜)やエアポケットの欠如による低酸素血症など、雪崩による埋没と同じと考えられている」とある。
スキー場におけるこうした事故で命を落とさないために、二段構えでの対応が必要だ。担当者によると、まず「予防案」は、
・スキー場が開放しているコースを利用する。コース外に出ない
・仲間と一緒に滑る。お互いの様子やコースの状況に気を配り、短くピッチを切りながら進む
・レスキューホイッスルを持つ。ジャケットの胸ポケットなど、口の近くに備えておく
が挙げられる。コースを走っているつもりでも、転倒して外れてしまう可能性があり、「コースが近くに見えていたとしても、風雪があると、声は思った以上に届かなくなる」。意識があるのに助けを求められない状況を出来る限り回避するためにも、ホイッスルを用意しておくのがよい。
それでも新雪に突っ込んでしまったら、冷静な対処が重要だ。前出の担当者は、(1)両手を使って口周りの空間確保を試み、(2)気持ちを落ち着けて、(3)可能ならば、ゆっくりと体勢を変える、と解説した。自分で雪から抜け出せないならば、周囲に見つけてもらう他にはないため、「パニックになって無駄に酸素を消費しない」よう注意する。