新型コロナウイルスの感染拡大は、初詣にも影響を与える。政府は混雑する時期を避けての参拝を推奨。太宰府天満宮(福岡県太宰府市)や成田山新勝寺(千葉県成田市)など、日本各地の寺社でも分散しての参拝を促すところがある。「オンライン参拝」という試みも生まれた。
ただ、三が日以外での参拝や、実際に神社へ足を運ばずに行う初詣は「ご利益」に影響があるのかが気になる。J-CASTトレンドは2つの神社に取材した。
「あくまでも神様に対するご参拝者の心持ち」
例年多くの初詣客でにぎわう神田明神(東京都千代田区)は、分散参拝を呼びかける。公式サイトでは、1月8日ごろから2月3日にかけてのお参りを求めている。
「三が日じゃなきゃダメだということは、もともとありません」
神田明神の広報担当者は、こう話す。
神社に共通する考え方として、初詣とは「三が日に参拝すること」を意味しない。
「その年で初めてお参りをすること」
これが初詣だという。神田明神はこの考え方に基づき、三が日に限らない参拝を呼びかけているのだ。
三が日が過ぎた後のお参りでも縁起が悪いことはなく、ご利益にも変わりはないと担当者は話した。
年が明ける前、年内に参拝を行う「幸先詣」でもご利益は変わらない。「あくまでも神様に対するご参拝者の心持ちです」とのこと。
「こういう情勢ですし、『こうじゃなきゃダメだ』という神様もいらっしゃいません。おおらかなお気持ちで、分散してお参りいただければと思います」
遠い場所から拝む行為は以前からあった
「出雲大社埼玉分院」(埼玉県朝霞市)では、公式サイトでオンライン参拝を実施している。パソコンやスマートフォンからページにアクセスすると、境内の中の様子が広がっており、地面か床をクリックして任意の場所へ移動可能だ。境内にある円形のマーカーをクリックすると、参拝方法を確認でき、お守りやおみくじも「オンライン授与」から買える。
オンラインからの参拝で初詣をしてもご利益はあるのか、副長の渡邉忠道氏に聞くと、遠い場所から拝む「遥拝(ようはい)」という行為を挙げて説明した。
「例えば、我々は島根県の出雲大社の方へ向かって遥拝を行います。方角へ向かって手を合わせて、『実際は行けないけれど、遠くから拝んでいます』ということ。遥拝という言葉は、昔からあります。オンラインで画像を通して手を合わせるのも、一つの遥拝の形だと私はとらえています」
ご利益について心配する必要は「ないと思います」。オンライン参拝では、さい銭を供えることはできないが、「心の中で、ということで」と付け加えた。