音楽を図る機械、メトロノームの発明

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

ベートーベンの「革命」

   けれども、メルツェルにはすごい友人がいました。自称、「自分の発明したメトロノーム」を彼に披露したところ、「これは作曲家の考えたテンポを、演奏者に正確に知らせるまたとない装置である!」と興奮して、それ以後、自作の楽譜にメトロノーム表示を書き入れるようになったのです。

   残念ながら初期のメトロノームはテンポの刻みが正確でなく、後世の演奏家は、その「疑問だらけのテンポ表示」に悩まされることになるのですが、この作曲家が、とにもかくにも「メトロノーム」という装置を自作の速度表示に活用したため、この装置の名前が一般化し、メルツェルが発明者だと言う説が定着し、以後の作曲家も、「レント」や「アレグロ」などの伝統的なテンポ表示の他に、メトロノームを使った表示を「4分音符=120」のように書き入れるようになったのです。

   メトロノームを定着させたこの作曲家こそ、今年生誕250周年を迎えた、ルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェンその人です。彼の進取の気性は、音楽の形式や内容だけでなく、テンポ表示においても革命を成し遂げていたのです。

本田聖嗣

本田聖嗣プロフィール
私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でピルミエ・ プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目CDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラ マ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

姉妹サイト