1814年に発明
しかし、作曲家が、「職人」から「芸術家」になった古典派後期の時代、作曲家が、「自分の考えた正確なテンポで演奏家に演奏してもらいたい!」という欲求が高まり、メトロノームが普及するのです。
メトロノーム発明の背景には、正確に時間を刻む時計が必要でした。大天才ガリレオ・ガリレイが振り子の振動の周期に関する研究をし、それを参考としたオランダのクリスチャン・ホイヘンスが、1656年、1日の誤差が数秒、という振り子式時計を発明します。振り子の似たような性質を利用していますが、メトロノームが発明されるのはそれからざっと150年後、1814年のことでした。同じオランダの、ディートリヒ・ニコラウス・ウィンケルという人がついに、「音楽の時間を正確に測り、規定する」装置を発明したのです。
しかし、ドイツの技師、ヨハン・ネポムク・メルツェルが彼の技術を盗用し、2年後に自分の発明として特許を取得してしまい、「メトロノーム」という名前もここで誕生します。この件は裁判になり、メルツェルが負けていますから、彼がアイデアを盗んだのは間違いないことのように思われます。