日産スタジアム(横浜国際総合競技場)や京セラドーム大阪、LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂)――。ネーミングライツ(命名権)を得た企業が、スポンサーとして施設に愛称を付けることがある。直近では、プロ野球・中日ドラゴンズの本拠地「ナゴヤドーム」の名称が2021年1月から「バンテリンドーム ナゴヤ」になると決まった。
球場や多目的ホールといった施設以外にも、意外なネーミングライツ事例がある。自治体の「公衆トイレ」だ。
高松市「新たな財源確保が目的」
香川県高松市では、「高松駅前広場公衆便所」でネーミングライツを募集し、日立造船(大阪市)が取得。愛称を「Hitz瀬戸の都トイレ」とした。20年4月から23年3月まで毎年10万円、総額30万円の3年契約だ。現在、トイレ外壁にもその愛称が表示されている。
市の環境施設対策課の担当者はJ-CASTトレンドの取材に、「新たな財源を確保することが一番の目的です」と話した。また、公衆便所のネーミングライツとしては「四国で初だと認識しています」。
このトイレはJR高松駅前で、同課が管轄する23か所の公衆トイレの中で最も企業にとって広告としての効果が期待できる場所だと担当者。一方で他のトイレだと高い宣伝効果を見込めるような好立地にはなく、現状ではほかのトイレにネーミングライツを実施する予定はないと明かした。
公衆トイレのネーミングライツがいつ日本で始まったかは不明だ。早期の例として、トイレメンテナンス事業のアメニティ(横浜市)が、「渋谷区役所前公衆便所」(東京都)の命名権を取得したと09年5月12日に発表している。