カス丸 はーい、ぼくカス丸きゃすう。先週のチャンピオンズカップは1番人気のクリソベリルがこけてしまい、当たらなかったじぇい。体調がよくなかったって言い訳だけど、本番に間に合うよう調整してほしいきゃすう。ザンネン! さて、今週はカス丸の一番大好きなレースだじぇい。阪神ジュベナイルフィリーズ(JF、2020年12月13日、阪神競馬場、芝1600メートル)。2歳牝馬のカワイ子ちゃんたちがナンバーワンを決める戦いきゃすう。出場する18頭ぜんぶを応援したいけど、予想もしなくちゃならないじぇい。いつも1番人気を本命◎にするガジュマル爺は、サトノレイナスを指名したきゃすう。
ソダシの強みと弱みは
ガジュマル爺 このレースはクラシック1冠目の桜花賞の舞台と同じじゃ。阪神競馬場の向こう正面からスタートして、外回りコースをぐるっと回って最後の直線を走るワンターンコース(U字型)じゃな。直線が470メートル以上もあって、末脚の速い馬が勝ちやすい舞台なんじゃ。去年は逃げたレシステンシアが最後まで押し切って勝ったんじゃが、なかなか逃げ馬が勝つのは難しいレースでもあるんじゃ。過去、勝利した馬をみると、末脚のキレがあるディープインパクトの仔が多いんじゃ。今年18頭出場する中で、唯一ディープの仔がサトノレイナス、というわけじゃ。6月、東京競馬場のデビュー戦(芝1600メートル)で単勝1.4倍の断然人気を背負いながら、中団からあっさり抜け出して快勝。国枝栄厩舎、クリストフ・ルメール騎手といえば、あのアーモンドアイのコンビじゃから、アーモンドアイが引退したいま、その後継馬の期待がかかっておるんじゃな。2戦目のサフラン賞(中山芝1600メートル)では2着馬に0.2秒差をつけて2連勝と鋭い末脚をみせたわけじゃ。中山と阪神は最後に急坂があるということで似ておるから、コース適性も問題ないじゃろ。ただ、不安材料といえば、多頭数の競馬を経験しておらん点なんじゃが、絶好調のルメール騎手のことじゃから、うまく馬群をさばくじゃろ。
カス丸 ディープの仔も心なしか少なくなってきたじぇい。頑張ってほしいきゃすう。穴狙いのカスヨ姉さんの本命◎はインフィナイトだじぇい。前走は2着に負けているきゃすう。大丈夫?
カスヨ 心配ないわよ、カス丸。今回の舞台、阪神外回り1600メートルは2歳の牝馬にとっては、とっても過酷なコースなのね。1600メートルといっても、最後のコーナーから下り坂に入り、残り200メートルで急坂があるし、スピードだけじゃなく、スタミナもパワーも要求されるわね。そんな中でインフィナイトはデビューから2戦しかしてないんだけど、いずれも不良馬場だったわ。この経験が今回の舞台に生きてくると思うわ。前走のサウジアラビアロイヤルカップ(GIII、東京1600メートル)は牡馬に混じって唯一の牝馬だったんだけど、きちんと2着だったわ。キングストンボーイやダディーズビビッドといった上位人気に推された馬たちもその後条件戦をきちんと勝ち切っているから、レベルは高かったレースのはず。見どころがあるわね。
カス丸 爺の対抗〇は1番人気が予想されるソダシだじぇい。ソダシは勝てそうきゃすう?
ガジュマル爺 サラブレッドの色はいろいろなんじゃが、ふつう白っぽいのを芦毛(あしげ)というんじゃが、このソダシは真っ白なんじゃ。競走馬では非常に珍しい白毛じゃ。母は白毛のブチコ、オバアちゃんは同じ白毛のシラユキヒメというんじゃ。父は芦毛のGI馬、クロフネ。クロフネは2001年のNHKマイルカップ(GI 東京芝1600メートル)とジャパンカップダート(GI 東京ダート2100メートル=現チャンピオンズカップ )を勝った芝とダートの二刀流じゃった。ソダシもクロフネ似で体格はがっしりしていて一見、ダート馬に見えるんじゃが、2走前の札幌2歳ステークス(GIII、札幌1800メートル)では白毛馬初の芝重賞制覇。前走のアルテミスステークス(GIII、東京1600メートル)も2着馬に0.3秒差と楽勝じゃった。鞍上はデビュー以来、乗りなれた吉田隼人騎手じゃ。先行できるうえ、いい差し脚があるんじゃが、まあ不安点といえば折り合い面に若干心配があるのと、今の阪神競馬場は高速決着じゃから、速いタイムの決着になったときにどうなるかという点じゃな。
メイケイエールは距離をこなせるか
カス丸 ふーん、かなり強そうだじぇい。カスヨさんの二番手はこれもソダシと人気を二分しそうなメイケイエールきゃすう。マイルはちょっと長すぎるような気もするじぇい。
カスヨ 大丈夫よ、カス丸。心配性ね、あんたは。メイケイエールはね、見た目は落ち着かない走りをするんだけど、ともかく速いのよ。小倉2歳ステークス(GIII、1200メートル)で牡馬を一蹴して重賞初勝利を飾ると、続くファンタジーステークス(GIII、京都、1400メートル)では日本レコードで連勝、力の差を見せつけたわけね。まあ、道中掛かり気味のような恰好だったんだけど、いざとなるとスピードは一級品よ。今度はカス丸が心配してるように1ハロン(200メートル)延長がカギとなるんだけど、折り合いさえつけばあっさり勝ち切るだけのスピードは十分持っているわよ。昨年のレシステンシア、一昨年のダノンファンタジーと2年連続でファンタジーステークスを勝った馬が阪神JFを勝っていることから、ローテーションにも問題はまったく無いしね。
カス丸 阪神JFは人気薄が突っ込んでくるレースでもあるじぇい。そんな馬は今年はいるきゃすう?
カスヨ わたしの単穴は▲オパールムーンよ。この馬はね、前走ファンタジーステークスで最後方から鋭くのびて2着だったわ。新馬戦は中団から接戦をしっかりと制したんだけど、高速馬場の厳しい流れでの最後方待機で鋭さを増すという新たな一面を見せてくれたわ。高速馬場の今の阪神にぴったりね。ノリさんこと横山典弘騎手が鞍上だから不気味ね。更なる新能力が引き出されてGIタイトルまで手が届くかもしれないわ。 次にウインアグライアね。この馬は、ともかく先行力が武器。新馬戦では先行したうえで上がり(最後の3ハロン、600メートル)がなんと33秒台というバケモノのような末脚で勝利したわ。続くコスモス賞も先行して勝利。前走アルテミスステークスでは同じく先行したソダシに完敗したんだけど、去年のような前残りの展開になれば上位必至よ。 それとユーバーレーベンね。前走のアルテミスステークスでは折り合いを欠いて9着と勝ち馬ソダシから0.8秒差だったわ。でもね、札幌2歳ステークスでは上がり最速で2着。決して実力が劣っているわけではなく、折り合いがつけば好走する可能性が高い馬なのね。最後はサルビアよ。折り合いに課題があって、前走のファンタジーステークスでは10着と大敗したんだけど、その前は2連勝。いずれも前めからの競馬で抜け出して勝ち切っていて、同じような競馬ができればこれも穴候補だわね。
ガジュマル爺 わしは、まずジェラルディーナじゃな。父が2015年、16年の香港マイル2連覇を含むGI6勝のモーリスじゃ。母は2012年の牝馬3冠(桜花賞、オークス、秋華賞)、ジャパンカップ2連覇を含むGI7勝の名牝ジェンティルドンナじゃ。ジェンティルドンナの父が泣く子も黙るディープインパクト、という超良血じゃ。デビュー戦が3着。次走の未勝利戦が2着。3戦目(阪神1800メートル)でようやく初勝利をあげたんじゃが、まだまだ成長途中で物足りなさが残っておるんじゃ。とはいえ、そこは良血馬じゃ、後ろからの差し脚だけでなく、前めにつける器用さがあるのは大舞台では武器になるはずじゃ。うまくスタートを切って流れに乗れれば、前走勝った阪神コースであっさり勝つ場面があってもおかしくないじゃろ。 もう一頭はエイシンヒテンじゃな。こちらは5戦2勝2着2回。6月の阪神でのデビュー戦(1600メートル)で8着、その後も勝ちきれなかったんじゃが、2走前に未勝利戦(小倉1200メートル )勝ち。3か月の休養明けが前走、白菊賞(阪神1600メートル)で2着馬を0.4秒ちぎって圧勝じゃった。ただ、小柄な馬体で450キロしかないのは物足りないから、もう少し成長があってほしいところじゃ。先行できるタイプで、どれだけ踏ん張れるか。16頭、17頭立ての多頭数のレース経験があるのはプラス。鞍上の若手の松若風馬騎手もいい。父エイシンヒカリは2015年の香港カップ(芝2000メートル)、翌16年のイスパーン賞(フランス芝1800メートル)の海外GI2勝。人気薄の一発は、この馬じゃろ。
カス丸 うーん、まだ2歳だから力が良くわからないじぇい。でも完成度からするとソダシがいちばんきゃすう。本命◎でいくじぇい。