秋田県内で、梅毒の発生報告が増えている。2020年11月12日、秋田市の公式サイトが注意を呼び掛けた。11月1日時点で、昨年の2.4倍もの報告数に上っている。
厚生労働省によると、インフルエンザ患者は前年同期比で99%減だが、患者数が増えている感染症もあるようだ。12月に入って、秋田県の梅毒感染状況はどのようになっているのか。12月8日、秋田市保健所健康管理課の担当者に取材した。
7年前は「年に2人」だったのに
「11月1日から11月22日までの間に、3人の梅毒患者が新たに報告されました。20日で3人という数字は、近年のデータから見ても多い傾向です」(市の担当者)
2020年は第1週から第44週(11月1日)までの間に、68人の梅毒患者報告が上がっている。この値だけ見ると「少ないのでは」と感じるかもしれないが、19年は28人、18年は16人だった。さらに13年、14年は2人だったことを踏まえると20年は異例だ。秋田市の公式サイトは、早期に治療を開始すれば治せる病気だとして「感染が疑われる場合は早めの医療機関受診」を促している。
「感染経路の多くは『性交渉』が占める」と担当者。患者数の内訳をみると「男性」が多く、年代別では最多が「50~60代」、次いで「20~30代」と説明した。ただ、患者数増のはっきりした原因はわからないという。
全国では10年弱で10倍以上に
梅毒は、「梅毒トレポネーマ」という細菌による性感染症だ。厚生労働省の公式サイトによると、「性的な接触(他人の粘膜や皮膚と直接接触すること)」などによってうつる。同省の性感染症報告数によると、10年から梅毒患者数は増加傾向だ。19年になって減少に転じたが、10年弱で10倍以上になっている。
10年:621
11年:827
12年:875
13年:1228
14年:1661
15年:2690
16年:4575
17年:5826
18年:7007
19年:6639
19年7月付の「週刊女性PRIME」記事が、急増する梅毒の増加原因に迫っている。性感染症を専門とする獨協医科大学埼玉医療センター泌尿器科医・小堀善友さんのコメントを、こう引用している。
「実は、いまだに原因は明らかになっていません。急増する外国人観光客によるものではないかという説もありますが、エビデンスがないため、そういった話を根拠なく吹聴することは控えるべきでしょう」
専門家をしても原因の究明は難しいようだ。