18分台も射程に入った
残念ながら今回、各紙のスポーツ記事は新谷、相澤、田中の三人に注目が集中、一山にスポットを当てた記事はほとんどなかった。わずかに、「西日本スポーツ」が、「マラソン女子東京五輪代表の一山麻緒(ワコール)=鹿児島県出水市出身=が女子1万メートルに出場し、自己記録を10秒以上も更新して2位。『スピード練習の成果が出た』と笑顔を輝かせた」と書いたのが目につくくらいだ。この記事は、「序盤で飛び出した新谷に1人だけ食らいつき、3000メートル手前まで追走。その後に離されても『いつもなら失速する』という単独走でも踏ん張った」と一山の成長を評価していた。
一万メートルの記録の短縮ぶりからすると、一山はマラソンで2時間20分切りはもちろん、18分台も狙える状態にあるといえる。そうなるとマラソン本番では入賞はもちろん、メダルも視野に入る。
昨年9月の女子マラソン五輪選考会では前田穂南(天満屋)が1位、鈴木亜由子(日本郵政)が2位で代表の座を一足早く手にした。しかし、二人のマラソンの自己記録は一山に遠く及ばない。これまでスピードでは鈴木が一枚上とされていたが、今回、一山は、鈴木の一万メートルの自己記録31分18秒16をも上回った。本番がスピードレースになった時も十二分に対応できそうで期待が高まる。
このあと、一山は20日の山陽女子ロードレース大会、さらに来年1月末の大阪国際女子マラソンに出場予定だという。