今年話題になった言葉に贈られる「2020年ユーキャン新語・流行語大賞」で、「3密」が年間大賞に選ばれた。他にも「アベノマスク」や「アマビエ」など、新型コロナウイルス関連の言葉がトップ10にランクインしている。大ヒットコミック「鬼滅の刃」やゲーム「あつ森(あつまれ どうぶつの森)」も並んだ。
毎年生み出される流行語。さて、10年前の流行語大賞トップ10はどうだったか。今も使われている言葉はあるだろうか。
「ととのいました!」のWコロンは既に解散
2010年の年間大賞は「ゲゲゲの~」。漫画家水木しげる氏の妻、武良布枝(むら・ぬのえ)氏の自伝「ゲゲゲの女房」を原作としたNHK連続テレビ小説が人気となって受賞した。
トップ10を見ると、ジャーナリストの池上彰氏がテレビ番組で使う「いい質問ですねぇ」、お笑いコンビ・Wコロンのねづっちさんが謎かけで用いる「ととのいました!」など、懐かしさを覚えるフレーズが並ぶ。また元首相・菅直人氏による内閣人事を指す「脱小沢」もある。
Wコロンは2015年に解散。当時の菅(かん)首相が今は菅(すが)首相――。10年の時の流れを感じる。
一方で孤独死や対人関係の希薄さを表す「無縁社会」は、20年6月20日付の産経新聞電子版で使用されるなど、今もたびたび目に入る。SNS上で近況を投稿するのに使う「〜なう」はどうか。12月4日の昼ごろにツイッターを見たところ、毎分10回以上のペースで「〜なう」がつぶやかれているのを確認できた。
アイドルグループ「AKB48」も、今なお人気だ。3月に出たシングル「失恋、ありがとう」は年間Bill Board Japanシングル・セールス・チャート(12月4日発表)で首位を獲得した。また、調味料の「食べるラー油」はスーパーや飲食店などで見かける。牛丼チェーンのすき家は「食べラー・メンマ牛丼」を10月に発売した。
他に育児する男性を意味する「イクメン」や女性同士の会合を指す「女子会」は、現在でも報道や日常会話で使われるフレーズだ。トップ10のうち、少なくとも半分は今も現役で、すでに定着しているといえる言葉も。
「ワイルドだろぉ」「そだねー」には懐かしさ
2011~19年の年間大賞も見てみよう。
芸人・スギちゃんの「ワイルドだろぉ」(12年受賞)やNHK連続テレビ小説「あまちゃん」のセリフ「じぇじぇじぇ」(13年・他3つと同時受賞)、お笑いコンビ・日本エレキテル連合の「ダメよ〜ダメダメ」(14年受賞)は、現在常用されているとは言い難い。カーリングの日本女子代表が試合中に使う「そだねー」(18年受賞)も、テレビ番組などで見かけることはない。
一方でテレビドラマ「半沢直樹」(TBS系)に出てくる「倍返し」(13年受賞)は、20年に続編が放送され今も見かける。また17年に同時受賞した「インスタ映え」や「忖度」も、それぞれ新聞やウェブメディアの報道で使われている。
1年前、19年の大賞はラグビー日本代表のスローガン「ONE TEAM」だった。ラグビーの魅力を伝えるイベント「ONE TEAM STREET」が20年12月中旬に東京都で開かれる。言葉の力は、まだ衰えていないようだ。
今年の大賞「3密」は、いつまで使われることになるか。