冬の到来だ。寒いこの季節、それでも、ゴキブリが部屋に......
アース製薬は研究のため、ゴキブリを「生物飼育室」で約100万匹飼っている。取材に対して広報室の担当者は「生物飼育室の温度は25度前後で、湿度は50%前後。これはゴキブリにとって快適な状態ですが、暖房や加湿器を家庭で使っているとこの環境になる可能性があります」と指摘する。さらに、今年は新型コロナウイルスの影響もあるようだ。
暖かい場所だと休眠せず活動
アース製薬生物飼育室の害虫飼育員、有吉立氏によると、一般家庭に最も出現しやすい「クロゴキブリ」は冬には休眠して動かなくなることが多い。ところが、暖かい場所だと休眠をせずに活動する個体がいるという。
また、今年のゴキブリには新型コロナウイルス感染拡大による思わぬ影響も。「皆さん外食が減り、家での食事機会が増えて生ゴミが発生したり、食べた物を落としたりすることで、ゴキブリにとっての餌も増えています。加えて暖房や加湿器を使っていると、ゴキブリが活動することはあると思います」。
さらに過去10年、本来は沖縄県など温暖な場所に生息している「ワモンゴキブリ」が本州や北海道でもみられるようになったと有吉氏。この種は「個体に関係なく休眠をしない体質」で、暖房の利いたビルなどで冬も動き回る。
電気ポットや炊飯器にも
ゴキブリ対策で気をつけるべき点を聞いた。
重要なのは壁や家具の隙間の掃除だ。ゴキブリの卵を見つけた場合、殺虫剤は効かないため、潰した方がいい。クロゴキブリの場合、卵の大きさは約1センチだ。また熱を持った家電にも注意だ。電気ポットの中や炊飯器の底など、電源をつけたままにしておいたことでゴキブリが入り込んだ例があるという。
さらに「ローチサイン」と呼ばれる茶色いしみについて、有吉氏は説明した。キッチンの引き出しの中やシンクの下で見られる。これはゴキブリの排泄物によるものだ。ゴキブリの通り道となっている証なので、掃除が必要となる。
また、冬でも動き回るゴキブリがいる以上は、アース製薬の「ブラックキャップ」のような毒餌剤の設置も有効とのことだ。暖房や加湿器をつけたままにしていたら、注意した方がよい。