スウェーデンのベストセラー『スマホ脳』 新潮社から邦訳、発売即2万部の重版に

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   スウェーデンで2018年に刊行された『スマホ脳』は、脳科学的見地からスマホが脳に与える影響に警鐘を鳴らした本だ。同国内でベストセラーになり、その後、世界十か国以上で翻訳出版が続いている。

  • アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』
    アンデシュ・ハンセン『スマホ脳』
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スマホが脳に与えるリスクを警告

   日本でも2020年 11月18日、新潮社から邦訳が発売された。三省堂書店有楽町店(東京)、紀伊國屋書店梅田本店(大阪)ほか、全国の主要書店で週間ベストセラー(新書部門)1位に。発売わずか一週間で2万部の増刷が決定した。

   著者の精神科医、アンデシュ・ハンセン氏は、ノーベル賞選定で知られる名門カロリンスカ医科大学を卒業。ストックホルム商科大学にて経営学修士(MBA)を取得したという異色の経歴の人だ。最新の脳科学の膨大な実験結果をもとに、スマホが脳に与える以下のようなリスクを指摘している。

・1日2時間を超える利用はうつのリスクを高める。
・睡眠眠障害にスマホの影響は否定できない。
・大企業は脳科学者を雇用してアプリ開発を行っている。スマホの依存性は、最先端の脳科学研究に基づき、アプリが脳に快楽物質を放出する〈報酬系〉の仕組みを利用して開発されている。
・学習現場では、スマホを傍らに置くだけで学習効果、記憶力、集中力が低下するという実験結果が報告されている。

   どうすれば依存せずにすむのか。自分は、わが子は大丈夫なのか。本書は警告と同時に回避の方法も教える。

   価格は980円+税。

「許せない!」がやめられなくなる

   類書は、すでに日本の研究者によっていくつか刊行されている。『スマホ依存から脳を守る』(朝日新書)は、インターネット依存症やゲーム依存症に警鐘を鳴らしている。著者の中山秀紀さんは、神奈川県横須賀市にある独立行政法人国立病院機構「久里浜医療センター」精神科医長。同センターは、アルコール依存症の専門治療で知られる。

   川島隆太・東北大学加齢医学研究所所長も著書『スマホが学力を破壊する』 (集英社新書)でスマホの危険性を訴えている。仙台市立の小中学生約7万人を5年間追跡調査、スマホを使用することで成績が下がり、止めると成績が上がることが分かったという。自宅での学習時間が同じ場合、スマホの使用時間が短い子の方が、成績が良かった。川島さんは多数の著作で知られるが、本書は特に力を入れたという渾身の労作だ。

   『スマホに負けない子育てのススメ』(主婦の友社)は、スマホが子育てにどのような影響があり、それを克服して上手に付き合うにはどうすればいいか分かりやすく示す。著者の諸富祥彦さんは明治大学文学部教授。教育学が専門だ。

   『「許せない」がやめられない―― SNSで蔓延する「#怒りの快楽」依存症』(徳間書店)はスマホには「怒り」という「麻薬」が仕組まれていると解説している。スマホを開けば常に怒りの対象が見つかる。「怒り」を炎上させることができれば大きなカタルシス(感情浄化)になる。「怒り」を常用していると、中毒にもなる。スマホが「ネット炎上」の導火線になっていることが理解できる。著者の坂爪真吾さんは。東京大学文学部卒。多数の著書があり、風俗店で働く女性の無料生活・法律相談などの社会活動でも知られる。

   世界保健機関(WHO)は2019年5月、スマホなどのゲームにのめり込んで日常生活に支障をきたすゲーム依存症が、「ゲーム障害」という疾患であると認めているという。

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