極意その4 発酵食品や善玉菌サプリメントを活用してウイルスを抑える
前出の若林院長によると口内環境を改善するには、歯科医などの定期受診と日々の口腔ケアに加え、バクテリアセラピーが有効だという。
「バクテリアセラピーとは、キシリトールを導入するなど口腔ケアの先進国、スウエーデンで30年前から提唱されている概念です。歯周病や虫歯の原因となる悪玉菌を、善玉菌を摂取することで活動を抑える。薬ではないので耐性菌が登場することもなく、小さなお子さんや高齢者、妊婦さんにも安心して摂取していただけます。人間由来の善玉菌を用いているので、口の中や腸の粘膜に定着しやすいという利点もあります」
バクテリアセラピーはヨーグルトなどの発酵食品やサプリメントで体内の善玉菌を増やすことで、口内環境や腸内環境を整えるという概念だ。人間だけでなく専用サプリを活用すればイヌやネコなどペットの健康管理にも活用できる。
このバクテリアセラピーに不可欠なのが、プロバイオティクスという生きて腸まで届き、悪玉菌の増殖を抑える抗菌物質を産生する人間に有用な善玉菌である。アンデス山脈の山岳地帯に暮らすペルー人の母乳から見つかったロイテリ菌をはじめ、胃液に含まれる酸にも死滅しない乳酸菌類がその代表格だ。
一時期、納豆が品薄になったが、新型コロナの感染拡大後、ヨーグルト、みそ、納豆などの発酵食品の消費額は10%以上、増加している。意識的に発酵食品をとっている人が多いと推測されている。
バクテリアセラピーは新型コロナやインフルエンザの特効薬ではないが、ストレスなく無理せず続けられるのが利点。
新型コロナウイルスは前述したとおり、肺や血管の炎症だけでなく下痢なども引き起こす。トイレでの家庭内感染を防いだり、避けられない会食に参加するときには、発酵食品の力を借りて、この冬を乗り越えよう。