札幌市で外出自粛要請が出され、各地で新規感染者数が過去最多を更新するなど、すでに流行の第三波に突入したとも言われる新型コロナウイルス。日本カバヤ・オハヨーホールディングスグループで、ヘルスケア領域を展開している「オハヨーバイオテクノロジーズ」は、2020年11月半ばにプレス向けのセミナー「ウイルス感染症予防と自己免疫」をオンラインで開催した。そのなかで内閣官房健康・医療戦略室戦略参与の森下竜一・大阪大学寄附講座教授と日本歯周病学会理事の若林健史・若林歯科医院院長が、第三波とこの冬を乗り越えるために「コロナウイルス対策 4つの極意」について講演を行った。
極意その1 家の中にコロナウイルスを持ち込まない拡散させない方法
欧州は2度目のロックダウンに突入し、米国では累計患者数が1100万人を超え、コロナ関連死亡者も連日1000人を超えている。欧米で猛威を奮っている印象が強いが、森下教授によると「新型コロナ感染において、日本の死亡率と欧米の死亡率に違いはない」のだという。
「米国の死者数が多いのは感染者が多いからです。米国国内の1日あたりの新規感染者数16万人に対し、日本の新規感染者数は1400人?1600人と米国の百分の一の規模で推移してきました。患者数が少ないために死亡者も少なかっただけで、今までは人工肺で救命できた重症患者も、病院のベッドが埋まり収容できなくなれば助からなくなり死亡率が上がることが懸念されます」
いわゆる医療崩壊だ。
誰もが日本で医療崩壊が起こることを想像したくないだろうが、まずは自分たちが感染しないに越したことはない。そのために4つの感染防御ポイントをしっかりおさえておく必要がある、と森下教授は強調する。
「欧米に比べ、日本人の感染者数が飛躍的に増えていないのは事実で、iPS細胞の山中伸弥・京都大学教授は日本人の感染者数が少ない要因を『ファクターX』と呼んでいらっしゃいますが、日本人特有の生活習慣や食習慣が注目されています」
注目されるきっかけとなったのが、さまざまな国や生活習慣の人たちが乗り込んだ豪華客船「ダイヤモンド・プリンセス号」だった。
「『ダイヤモンド・プリンセス号』の船内を調べたところ、感染者が利用していた客室の中でコロナウイルスが最も多かったのはトイレの床でした。コロナウイルスは肺炎や全身の血管の炎症を引き起こすイメージがありますが、尿や便からも大量のウイルスが排出されます。尿や便から排出されたウイルスは水で流す際に飛沫となり、トイレ室内や床に拡散されます。欧米人は眠る時以外は靴を履いているので、外から持ち込んだウイルスや、トイレの床にばら撒かれたウイルスが靴底に付着し、それが寝室まで運ばれてしまいます。日本人は玄関で靴を脱ぎ、トイレでは専用のスリッパに履き替える。さらに日本の家庭ではトイレに蓋がついたウォシュレットタイプの便器が普及しているので、ウォシュレットで洗い、さらに便器に蓋をして流すことで、コロナウイルスの飛沫拡散を防いでいると考えられます」
高齢者や持病を抱えている人は外出を控えているだろうが、やむなく通院や買い物で外に出かけるときは、上着は居間や寝室に持ち込まず、靴底や靴を消毒して、家の中にウイルスが入り込むのを防ごう。そして埃や飛沫を吸い込まないように玄関先やトイレ、洗面所を目的にあった洗剤でこまめに掃除すれば、もしウイルスを持ち込んだとしても家中への拡散を防げる。