日本の漫画文化のルーツを探る特別展「GIGA・MANGA 江戸戯画から近代漫画へ」展が2020年11月25日から2021年1月24日まで東京都墨田区・すみだ北斎美術館で開かれる。北斎、国芳、暁斎などの浮世絵版画や、明治以降に台頭した漫画雑誌や漫画本などの近代漫画・・・時代に合わせ姿を変えながら発展してきた漫画的表現の変遷を知ることができる。約270点が以下の構成で展示される。観覧料は一般1200円。
常設に疫病退治の大作
展覧会の構成は以下のようになっている。
第1章 商品としての量産漫画の誕生 江戸中期からの戯画の大衆化 ~戯画本・戯画浮世絵~
第2章 職業漫画家の誕生 ~ポンチ・漫画の時代へ~
第3章 ストーリー漫画の台頭 ~昭和初期から終戦まで~。
前期・中期・後期の3つの会期で展示替えされる。浮世絵の自由奔放にして大胆な構図、思い切った誇張、絢爛豪華な彩色などを通して日本漫画のルーツを再確認できる貴重な機会だ。
<主な出品作品>
・世の中にあふれている「よし」(良いこと)を集めた作品・・・歌川国芳「浮世よしづ久志」
・漫画の原点ともいえるコマ表現やキャラクター性に注目・・・葛飾北斎『北斎漫画』
・人気絵師暁斎がことわざを戯画化したシリーズ・・・河鍋暁斎「狂斎百図」
・時局諷刺画「ポンチ」という言葉のきっかけ・・・チャールズ・ワーグマン『THE JAPAN PUNCH』
・全頁カラーでビジュアル重視、明治の漫画雑誌ブームの火付け役・・・東京パック』
・日本初の日刊連載の新聞4コマ漫画・・・小星・東風人『お伽 正チャンの冒険』
同館には北斎の「須佐之男命厄神(すさのおのみことやくじん)退治之図」(推定復元図)が常設展示されている。須佐之男命と、その従者の前に15体の様々な厄神がひざまずき、今後悪さをしないように証文を取られているところが描かれている。幅約2メートル76センチ×縦約1メートル26センチという北斎晩年最大級の傑作だが、関東大震災で焼失、凸版印刷の最先端デジタル技術を活用し、2016年に原寸大で推定復元した。コロナ禍の今だからこそ必見だ。特別展と同時に観覧できる。