長引くコロナ禍の影響で、「在宅習慣病」が増加――埼玉県戸田市の戸田中央総合病院が、新しい生活習慣病としてこう提唱した。「在宅習慣病」とは運動不足や生活習慣の乱れにより、高血圧や脂質異常症、糖尿病などになったり、悪化したりする「きっかけ」の総称だという。
ただこれは、日々の工夫で予防・改善できる。その一つが赤ワインやナッツなどの「嗜好品」の活用だ。戸田中央総合病院は2020年11月12日にオンラインで開催した「コロナ禍を健康に"楽しく"生き抜く 嗜好品外来セミナー」で、嗜好品摂取による体調管理法を紹介した。
「嗜好品」で心臓病や糖尿病リスク低減
セミナーでは同病院の心臓血管センター内科嗜好品外来担当医師・椎名一紀氏が解説に立った。生活習慣病に悩む患者に、赤ワイン、コーヒー、緑茶などの「ポリフェノール系」、ナッツやサバといった「オメガ3脂肪酸」を含む食べ物による改善法を指導した。
椎名医師によると、嗜好品は「普通の飲食物・薬ではない」が、手軽にとれる魅力がある。また、ナッツを日常的にひと握り食べている人は、ナッツを全く食べない人と比べて「29%も心臓病による死亡率が低下」といった医学的根拠もあると説明した。
中でもセミナーで詳しく取り上げられたのが、カカオ含有量70%以上の「高カカオチョコレート」。心臓病予防に効果があるとされる「ポリフェノール」が豊富に含まれており、高血圧改善や、糖尿病予防の働きも期待できる。摂取の目安は1日25グラム(5かけら位)で良い。椎名医師は「カカオ70%程度のチョコレートなら、あまり苦みが強くないので食べやすい」と語った。