当主は18代目
マルト醤油醸造所は、地元産原材料と天然醸造製法にこだわり、醤油づくりを続けてきた。皇室御用達でもあったが、戦後、食糧難により閉業。
それから70年を経た2020年9月、醤油しぼりを体験できる宿として新たに開業した。先代の孫である、18代目当主の木村浩幸氏が蔵の整理中にマルト醤油の古文書を見つけたことがきっかけ。そこから試行錯誤し、ホテルに合わせて醤油蔵も再興したのだ。
330年間、醸造蔵に棲みついた酵母菌のおかげで、添加物を一切使用しない天然醸造製法でかつての味を再現することができた。厳選した地元産大豆と小麦で仕込み、じっくりと発酵させ、2年間、ゆっくり熟成させてやっとできあがる貴重な醤油だ。
丹精こめた天然醸造による醤油造りの味は醤油しぼり体験で試食し、翌朝の朝食で食すことができる。力いっぱい絞って出てきたわずかな醤油は塩味より先に出汁のような味がする、まろやかな味わいだった。