粋で優しい馬鹿でいろ
オーシャンズ(版元はライトハウスメディア)の読者層は30代後半から40代、まさに「小さな息子がいるお父さん」の世代である。彼らに読ませる上記連載には〈林信朗がオトコたちへ綴る言葉〉の副題がつく。「MEN'S CLUB」などの編集長を歴任した筆者の助言である。ファッションにこだわる読者たちは居住まいを正して読むだろう。
男の子の育て方と、女の子の育て方。少子化が進み、どちらにしても経験するのは1回きりという親が増えている。そのせいか指南本の類も多いようだ。
ファッションへのこだわりが薄くて浅い冨永も、かつては小さな男の子、それも兄弟の父親だった。私の場合、アイロンや靴磨きには縁がなく、背中で教えるなんて格好いいこともできず、必要と思えば言葉で説教した。
2人とも「オーシャンズ世代」に入り、ひいき目に見ても紳士には遠いものの、それぞれ育児に参加するタイプの父親になっている。子育てにしっかり関わらなかった父親の姿を、反面教師として観察していたのかもしれない。
わが子だけでなく、男子全般の理想として私がいつも思うのは、桑田佳祐さんの「祭りのあと」にある〈悪さしながら男なら 粋で優しい馬鹿でいろ〉という歌詞である。
むろん「悪さ」「粋」「優しさ」「馬鹿」のバランスが難しいのだが。
冨永 格