矢沢永吉「STANDARD~ザ・バラードベスト」
時を超えたメロディーの普遍性

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メロディーと歌がリズムを連れてくる

   矢沢永吉の「バラード」は、一般的なイメージとは相当に違う、と書いた。

   何よりも違うのは「歌の情感」だろう。

   身体が自然に踊りだしそうな激しいアップテンポこそないもののリズムがある。メロディーと歌がリズムを連れてくる。バラードだから静かにという「決まり事」で歌っているわけではない。感情が自分で書いたメロディーに乗り移り、それが歌になる。

   「会いたい」「好きだ」「悔しい」「哀しい」「切ない」などの感情の狂おしいばかりの張り裂けそうな切迫感。年齢を重ねたからこそわかってくる「虚しさ」や「やるせなさ」。言葉にならない複雑な感情が声になり歌になる。

   こんなに「ロック」を感じさせる「バラード」を歌える人は他にいないだろう。

   去年のアルバム「いつか、その日が来る日まで」の「その日」は、その人によって思い描くことは違うのかもしれない。

   でも、誰にでも「その日」はやってくる。

   そのことを知ったから歌える歌がある。

   STANDARD~ザ・バラードベスト」は、そういうアルバムだと思う。

(タケ)

 

タケ×モリ プロフィール
タケは田家秀樹(たけ・ひでき)。音楽評論家、ノンフィクション作家。「ステージを観てないアーティストの評論はしない」を原則とし、40年以上、J-POPシーンを取材し続けている。69年、タウン誌のはしり「新宿プレイマップ」(新都心新宿PR委員会)創刊に参画。「セイ!ヤング」(文化放送)などの音楽番組、若者番組の放送作家、若者雑誌編集長を経て現職。著書に「読むJ-POP・1945~2004」(朝日文庫)などアーティスト関連、音楽史など多数。「FM NACK5」「FM COCOLO」「TOKYO FM」などで音楽番組パーソナリテイ。放送作家としては「イムジン河2001」(NACK5)で民間放送連盟賞最優秀賞受賞、受賞作多数。ホームページは、http://takehideki.jimdo.com
モリは友人で同じくJ-POPに詳しい。

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