中国はなぜ急成長できたのか。それを解き明かすのが『清華大生が見た 最先端社会、中国のリアル』(クロスメディア・パブリッシング)だ。2020年2月刊だが、アマゾンの中国関係本では一時はトップになるなど上位をキープし続けている。
理由の一つに、著者の夏目英男さんの経歴がある。1995年、東京生まれ。親の仕事の関係で2000年に北京に移住し、中国で育った。2017年に清華大学法学院及び経済管理学院(ダブルディグリー)、19年に同大学院公共管理学院(公共政策大学院)を卒業している。
中国の双雄は「清北」
清華大は、北京大と並ぶ中国の最難関大だ。習近平国家主席の出身校でもある。両大学は「中国の双雄『清北』」と呼ばれているそうだ。世界大学ランキングでは近年、両大学がアジアのトップを競い合っている。長年トップを続けてきた東京大学はこのところベスト5に入っていない。
とくに清華大の伸びは目覚ましく、USニュースの大学ランキングでは米国マサチューセッツ工科大を抑え、世界1位に輝いているという。夏目さんのように、日本人で清華大、同大学院出身という人はまだ多くないはずだ。
本書は以下の構成。
第1章 中国を変えるチャイナユース―80後、90後とは?(改革開放の恩恵と北京オリンピック、中国経済の奇跡 ほか)
第2章 デジタル革命がもたらす中国社会の変化(アリババとテンセントが変えた中国社会、英語教師だったジャック・マー ほか)
第3章 世界最先端を走るアプリ大国のイマ(アリババ系とテンセント系の主要代理戦争、ウィーチャットという最強のSNSサービス ほか)
第4章 中国教育と海亀たち(「高考」という悪夢、チャイナユースが目指す211、985、双一流とは? ほか)
第5章 ジャパンユースとチャイナユース(恋愛観・結婚観、家庭観 ほか)
躍動する中国の現状や、中国の若者像についてページを割いている。中国のデジタル革命についても詳しい。空前の大成功者、アリババのジャック・マー会長などリーダーたちの横顔も紹介されている。「アリババ系とテンセント系の主要代理戦争」「ウィーチャットという最強のSNSサービス」など、最近の動向も丁寧に解説されている。