俺は舞台の人間
昨今のテレビでは「本音トーク」がもてはやされる。「キレ芸」を売り物にするタレントもいる。SNSでの好き放題、何でもアリの言説が少なからず影響しているようだ。昔ながらの予定調和では緊張感もハプニングも生じず、視聴者が離れてしまうのだろう。
ただ梅沢さんの場合、計算づくで、あるいは逆に見境もなく怒っているのではなく、彼なりに「怒るべき理由」があるようだ。だからこそ、カメラのない所でも怒る。
梅沢さんは、舞台と客席の緊張関係の中で芸を磨いてきた。アドリブ自在、臨機応変の客あしらいは大衆演劇の魅力だ。融通の利かないマニュアル人間や、四角四面のルールには我慢ならないものを感じているに違いない。そして「俺は舞台の人間。いやなら使わなくて結構」という気概が、思い切った発言につながっていると見た。
連載タイトル「人生70点主義」は、「好不調があるからいつも満点はとれない。でもプロとして、いつでも70点以上のものはお見せしたい」といった意味。このサービス精神があるから、バラエティーや情報番組での毒舌、直言もそれほど陰湿にならない。
間もなく70歳を迎える梅沢さん。いまさら妙に丸くなるより、これまで通りのキャラを通してほしい。
冨永 格