「コロナ後」向き合うべき量的金融緩和と財政問題

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真に必要な対策を改めて考える段階

   これらの指摘にすべて賛同という訳ではないが、7割方、共感できる。そして、全体として、行動経済学を中心とする経済理論的基礎付けをもって整理されている分析は、現状を冷静に理解する上で、極めて参考になる。

   緊急事態宣言時は、政府もメディアも国民も皆パニックになったところがあったように思う。政府の対策も今後検証されていくだろう。欧米は再び感染のピークを迎えているが、日本は感染状況を安定的に維持させつつ、経済活動を正常化させてきている。アフターコロナを見据え、真に必要な対策は何か、改めて考える段階に来ていると思う。そして、今や危機意識なく受け入れている量的金融緩和や世界的にも歴史的にも最悪の水準にまで至った財政問題にも、正面から向き合わなければならないだろう。その点、本書は「リスクプレミアムターゲット」という新次元の金融政策を出口戦略として提言するとともに、財政破綻への備えを促している。

   著者の経歴を見ると、霞が関経済官僚OBだ。現場にいると足元の対応に追われがちだが、本書への賛否はともあれ、広い視野で経済社会事象を分析する必要性を改めて感じさせられた。

経済官庁 吉右衛門

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