新型コロナウイルスの影響で、打撃を受けている観光事業。全国から利用客を呼び込もうと、オンラインで観光地を巡る「バーチャルタクシーツアー」を始めた企業がある。熊本市の熊本タクシーだ。
同社のツアーガイドが観光地へ足を運び、リアルタイムで現地の映像を配信しながら名跡の解説をしてくれる。J-CASTトレンド記者はウェブ会議サービス「Zoom」を介し、熊本城を1時間で案内してもらった。
地震被害から立ち直る最中の熊本城を観光
熊本タクシーの2020年4~6月における観光タクシー事業の売り上げは、前年同期比9割減。書き入れ時のゴールデンウイークや9月の連休も、タクシー観光の実施・問い合わせはゼロだった。「バーチャルタクシーツアー」は、苦境の時期に考案した新サービスだ。利用者はガイドが持つカメラを通じ、観光地の景色を楽しむ。
Zoomで指定のURLにアクセスすると、熊本城城内に位置する加藤神社が画面に映った。戦国武将・加藤清正を祭る同神社に、熊本タクシーの観光ガイド・八反田晋さんがスタンバイし、境内の様子を映してくれていたのだ。突然広がった景色に驚いていると八反田さんに話しかけられ、まず順路の説明を受けた。
「バーチャルタクシーツアー」では、利用者の代わりにガイドが目となり、足となってくれる。ガイドが持つカメラを自分の意思で好きな場所に向けたり、近くに寄せたりはできないが、画面を見ていて気になるところがあれば、希望を伝え、足を止めてもらったり近付いたりしてもらえる。スクリーンショットで「撮影」気分も味わえる。
バーチャルで楽しんだら「次は現地へ」
八反田さんは「肉眼で見てこそ伝わる観光地の魅力がある」ことを踏まえ、「バーチャルタクシーツアーで熊本に興味を持つきっかけを作り、『面白かったから、次は現地へ行ってみよう』と思ってほしい」と望む。熊本城は桜の名所として知られるため、例えば「今度は春に観光に行こう」と後押しする狙いだ。
今回記者が利用した1時間での「熊本城巡り」は、準備案内と通信料を合わせて6620円。複数人(最大10~20人程度)でサービスを利用すれば、割り勘にできる。熊本城以外の観光地でも可能だ。