カス丸 はーい、ぼくカス丸きゃすう。先週の秋華賞は、デアリングタクトが牝馬として初めての無敗3冠を見事に達成したじぇい。ガジュマル爺は◎の単勝、カス丸は◎△で馬単を当てたじぇい。今週は菊花賞(2020年10月25日、京都競馬場、芝3000メートル)きゃすう。こっちは牡馬の無敗3冠がかかっているコントレイルが出るじぇい。父親があのディープインパクト。父に続いて無敗3冠なるかどうか、コントレイルが本命◎のガジュマル爺に聞いてみるきゃすう。
コントレイルの不安といえるのは
ガジュマル爺 デアリングタクトは外々を回って、誰にも邪魔されることなく走って優勝したが、最後の直線に入る前に前に出るのが遅くなりはしないかと若干心配だったんじゃが、見事なレースじゃった。今週のコントレイルはデアリングタクトに比べると、まったく心配無用じゃ。レースに出ることができれば勝てる。それほど、この馬は強いんじゃ。ともかく欠点らしい欠点がないんじゃ。第1冠の皐月賞(中山、2000メートル)じゃが、スタートはあまりよくなかったんじゃが、中団からやや後ろにつけて、最後の4コーナーでは8番手まで上がり、最後は上がり3ハロン(最後の600メートル)34秒9の最速の末脚で優勝じゃ。2冠目のダービー(東京、2400メートル)は第2コーナーまでなんと3番手につけるというまったく別のレースの仕方じゃった。最後のコーナーを5番手で回り、あとは上がり3ハロン、これも最速の34秒ジャスト。秋の初戦、菊花賞のトライアルレースの神戸新聞杯(中京、2200メートル)では、中団につけて最終コーナーを7番手で回って、上り2位の35秒6で圧勝じゃった。何が言いたいかというとじゃ、つまりどんなレースにでも対応できるということじゃ、この馬は。菊花賞は距離が3000メートルと長いんじゃが、その不安は父親が勝っておるから心配はいらんじゃろ。昔の菊花賞はステイヤー(長距離が得意な馬)でないと勝てないと言われたもんじゃが、最近は2000メートル走れれば勝てる、というレースになってきたんじゃ。つまり京都競馬場外回りコースを1周半するんじゃが、最初の2000メートルくらいは折り合いをつけてゆっくり走り、第3コーナーから下り坂になる辺りからスピードをつけて最後の直線でトップスピードに乗せる、というレースなんじゃ。昔に比べると、この最後の4ハロン(800メートル)くらいがとんでもなく速くなっておるんじゃ。ちなみにディープインパクトが勝った2005年のときはレース全体の時計が3分4秒6じゃ。しかし、現在レコードとして残っておる2015年のトウホウジャッカルが勝ったときは3分1秒0じゃ。ディープインパクトの時の上り4ハロンは47秒8かかっておるんじゃが、トウホウジャッカルのときは46秒6という速さじゃ。昨年はちょっと遅かったんじゃが、2年前のフィエールマンが勝ったときは46秒4という中距離戦なみの速さだったんじゃ。ということは、最後の上り勝負というのが最近の菊花賞なので、これまでも最後の上りがトップクラスのコントレイルにとっては心配無用のレース展開ということなんじゃ。天気も晴れ予報で、とんでもない道悪にはならんじゃろうから、まったく不安なしじゃ。
カス丸 ふーん、強そうだじぇい。いつも1番人気候補にケチをつけるカスヨ姉さんは対抗〇にしてるきゃすう。コントレイルに不安があるきゃすう?
カスヨ カス丸、わたしはケチをつけてるわけじゃないのよ。ちゃんと分析しているわけ、わかってるわね? コントレイルは確かに欠点が少ないんだけど、京都が初めてなのよね。それと同じ競馬場を1周半するというレースも初めてなのよ。アーモンドアイが昨年の有馬記念であと一周しなきゃいけないときに、最後の直線だと勘違いしてスピードをあげてしまったという例もあるからね。それに父のディープインパクトも菊花賞のときは、1周目の直線でかかってしまい、ユタカちゃん(武豊騎手)が大慌てで走行妨害ぎみに内ラチ(柵)沿いに入れて抑えたこともあったわ。競馬に絶対はないってことなのよ。それと、最近の菊花賞は爺の話にあったように最後の末脚勝負になることが多いのよ。わたしが本命◎をヴェルトライゼンデにしたのは、さっきの話に出たトライアルレースの神戸新聞杯で上りがコントレイルより速かったのがこの馬なのよ。それとここが一番大事な点なんだけど、先週の秋華賞を見てた人は誰でも気が付いたと思うんだけど、最後の直線で内を走っていたマルターズディオサが脚が衰えてるわけじゃないのに、まったく伸びずに、外側を走ったデアリングタクトらに簡単に抜かれたことね。結局、上位馬は軒並みコース外側を通ったということなのよ。コントレイルは3番枠に入ったからおそらく先行集団に入って、最後の直線で抜け出すでしょう。それを見ながら6番枠のヴェルトライゼンデはコントレイルより外側から直線に入るわね。そして最後のスピード比べとなるんだけど、今の京都では外を走るヴェルトライゼンデのほうが有利になるわ。30年近く前になるけど、ミホノブルボンという無敗2冠馬がいたわ。この馬は逃げ馬で菊花賞では先頭で最後の直線に入ったんだけど、小型で偉大なステイヤーだったライスシャワーに抜かれ、無敗3冠の夢が散ったわね。コントレイルには3冠とってほしいけど、競馬は競馬、何がおきるかわからないものなのよ。
ガジュマル爺 内と外の馬場の違いは、秋華賞の前週の京都大賞典からハッキリしておるわけじゃ。それは騎手にとっては常識じゃろ。コントレイルも中ないし外に出すはずじゃ。鞍上は、いま絶好調の福永祐一騎手じゃ。そんな心配はいらんじゃろ。
穴馬もたくさんいるじぇい
カス丸 ふーん、話が細かいじぇい。このレースは2着探しという声もいっぱいあるきゃすう。爺の対抗〇はディープボンドだじぇい。
ガジュマル爺 ディープボンドは京都コースで4戦2勝じゃ。そのうち1勝はGIIの京都新聞杯(芝2200メートル)で重賞もちゃんと勝っておる。前走の神戸新聞杯は勝ったコントレイルから0.5秒差と踏ん張ったし、それほど差がないんじゃ。この馬の強みは先行して粘りこむという点じゃ。ともかく菊花賞は前にいないと勝ち目がないレースなんじゃ。好位でレースを進められる脚を持っておるから、向こう正面の坂を上って3コーナーから下って勢いがつく京都コースは合っておるはずじゃ。最後まで勝負をあきらめん和田竜二騎手が乗り続けているのもプラスじゃな。
カス丸 菊花賞もよく穴馬が飛び込んでくるじぇい。今年はどんなのがいるきゃすう?
ガジュマル爺 わしはまず、春から活躍しておるガロアクリークじゃな。春のスプリングステークス(GII、中山芝1800メートル。1着)で見せた上がり3ハロン33秒8のタイムはなんといっても優秀。続く皐月賞も、4コーナーでコントレイルより後ろから追い込んで3着と、鋭い末脚を披露しておる。前走のセントライト記念(GII、中山、2200メートル)は先行勢に交じって3番手でレースを運び、そのまま3着という自在性も見せたんじゃ。ダービーから手綱を握る川田将雅騎手がそのまま騎乗じゃから、馬券になる可能性は高いじゃろ。次はバビットじゃ。これまで6戦4勝で、前走は関東の前哨戦、セントライト記念で1着と、ラジオNIKKEI賞(GIII、福島、1800メートル)に続いて重賞連勝じゃ。セントライト記念で負かしたのが皐月賞3着のガロアクリークや、同5着でディープインパクト記念弥生賞(GII、中山、2000メートル)勝ちのサトノフラッグだったことを尺度に考えると、かなり有望じゃ。7年前のバンデのように逃げ馬が粘りこむシーンもあってよいというもんじゃ。それにコントレイルと対戦していない未知数の魅力がある点も興味深いところじゃ。最後にレクセランスじゃな。この馬はデビューから6戦3勝。そのうち、京都コースで2勝とコース相性の良さはプラスじゃ。新馬戦(京都、1800メートル)から福寿草特別(京都、2000メートル)、すみれステークス(オープン、阪神、2200メートル)と3連勝。その後も皐月賞、ダービーを使って、前哨戦の神戸新聞杯と、王道のローテーションを走ってきた馬じゃ。先週、デアリングタクトを無敗の牝馬3冠のエスコートした松山弘平騎手が鞍上じゃから大穴を狙うならこの馬じゃろ。
カスヨ 私の単穴▲はアリストテレスよ。1勝クラス、2勝クラスと連勝で本番に臨む夏の上がり馬ね。重賞経験がないけれど、春先は若駒ステークス、すみれステークスとタイム差なしの2着と善戦した実績があるわよ。鞍上のルメールちゃん(クリストフ・ルメール騎手)も2016年から1年おきに菊花賞を制しており、その順番だと今年は優勝の年に当てはまるわね。次がサトノインプレッサよ。毎日王冠では優勝したサリオスとは対照的に10着と大敗をしてしまったけど、今年のダービー4着馬だから、底力はあるわ。NHKマイル惨敗 → 日本ダービー好走のように、間隔が詰まった方が力を発揮するタイプかもしれないし、見限れないわ。同じサトノ軍団でも弥生賞の走りが鮮やかだったので、サトノフラッグのほうに注目が集まりそうだけど、馬券に絡む可能性が高いのはサトノインプレッサだと思うわ。最後は、ロバートソンキーね。1勝馬ながら神戸新聞杯では3着に入ったわ。ともかくこの馬は、史上初の無敗3冠馬シンボリルドルフが3代前にいるということね。無敗3冠の血に期待するわ。
カスヨ ふーん、たくさんいるじぇい。でもコントレイルの無敗3冠は見てみたいきゃすう。本命◎でいくじぇい。