「意味わからへん」、「シュールすぎ」。滋賀県が2020年10月20日に公開したPR動画の感想ツイートだ。
動画では、物理学者・ニュートンがリンゴを見て万有引力の法則を発見した例を紹介しつつ、滋賀県で有名な彦根城、鮒ずし、赤こんにゃくといった名所や名物がユーモラスに次々登場。それらを見て私たちは何を創造できるかと、問いかけている。でも、これ、何のPRなの!?
「『ニュートン』と『ニューノーマル』をかけて...」
動画は「ニュートンに学ぶ、これからの滋賀ノーマル」として公開された。 ニュートンが生きていた17世紀、英ロンドンではペストが大流行し、自粛を余儀なくされた。その時、自由に思考する時間の中で、微分積分や万有引力の法則といった新たな価値を発見できたといわれている。新型コロナウイルスによって生活が変わりつつある今だからこそ、新しい価値が生み出せることを、ニュートンの例と滋賀の名物を掛け合わせて動画にした。
J-CASTトレンドは、滋賀県庁に取材し制作の意図を聞いた。広報課・奥恵介さんは、動画でニュートンを例に挙げた理由に、
「『ニュートン』と『ニューノーマル』をかけていまして、動画タイトルの最初と最後をつなげていただくと『ニューノーマル』になるんです」
と、ぽそっと明かした。もともと、新しい常識や状況を指す「ニューノーマル」の動画を作りたかったそうだ。
動画ではピアノの音色に合わせて男性が独特な歌を歌う。
「あなたは落下する鮒ずしをみて何を発見しますか」 「琵琶湖から現れる信楽焼のたぬきをみて何を得ますか」
他にも、近江米が入院したり押し合いしたり、滋賀に関係するものが少々奇妙な形で登場、理解するのは難解な動画に仕上がっている。
映像と歌が頭に残るように
県広報課の奥さんは、動画を通して新たな発想や価値観を見つけ、滋賀や自分の未来について考えてもらいたかった、今回は変化球で攻めた、と話す。
見た後すぐに忘れてしまうのではなく、映像と歌が頭に残り「赤こんにゃくが夢にでも出てきそうな動画を目指しました」と続けた。
ニュートンのように、どこから新たな価値が生まれるかは分からない。「例えば、行進する赤こんにゃくを見て何か着想を得る方がいるかもしれません。具体的に何かをしてください、というよりも、これを思考・創造するフックにしてほしいです」と説明した。
動画は滋賀県の公式ユーチューブでも公開されている。