「食と農」固定観念から脱却し大きな可能性を提示

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現在の超高齢化・担い手不足はチャンスでもある

   農家は弱者という固定観念、自給率しか見ない農業安全保障、伝統的なコメ中心の農業政策が、こうした視点を奪い、チャンスを逃したのではないか?日本は土地が狭いし高い、労働力も不足し高いというのが言い訳にされてきたが、農業輸出大国のオランダや漁業先進国のノルウェーの現状を見るに、いつまで同じことを言い続けるのだろうか?

   かと言って、担い手の高齢化、集約が困難な農地、錯綜する既得権益、縮小する国内市場の環境下で、世界に伍して行ける成長産業への転換が可能なのだろうか?本書では、ベストプラクティスの共有、国家戦略としての農作物の輸出促進、農業バリューチェーンの縦割り排除など、いくつかの処方箋を示しているが、これだけでは実現可能な未来図は描けないだろう。農地の集約、コメへの偏重から作物構成の最適化、民間企業を含む新規参入の促進、輸出振興など、日本の産業構造に合ったソルーションを総合的に提示し、関係者の理解を得て実行していく必要がある。

   現在の超高齢化・担い手不足はチャンスでもある。学生の就職ランキングは霞が関よりコンサルティング会社優位の状況にあると聞くが、政策手段とネットワークを持つ役人の奮起を期待したい。

経済官庁 吉右衛門

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