富士山周辺に大きな「つるし雲」が現れた。2020年9月18日朝のウェザーニュースの報道によると、本州付近を南下している秋雨前線に吹き込む湿った南西の風が強まっている影響だという。
出現すると通常の雲と違いほとんど動かず、吊るされているように見えることから名付けられた。ツイッター上では「初めて見た! 凄い!」「なんだか神秘的」と関心を集めた。つるし雲のほか、珍しい雲についてまとめた。
発生には一定の気象的・地理的条件が必要
前述のウェザーニュースの記事によると、つるし雲はレンズ雲と呼ばれる雲の一種で、主に高い山の風下で空気の波が起こった際に現れる。波のような空気の流れのなかで、空気が上昇する所では雲が発生し、下降する所では消滅という現象が繰り返され、雲が同じ場所で止まっているように見えるという。
金属の加工に使う金床のような形をしていることから呼ばれる「かなとこ雲」は、積乱雲の一種。気象衛星センター(東京都清瀬市)の公式サイトによると、最盛期から衰弱期の積乱雲が圏界面(地表からの空気が上昇できる限界高度)によって抑えられることで、上層部分が水平方向に流れ出し、かなとこ状の雲を形成する。
国内ではごく限られた場所でのみ見られる珍しい雲もある。新潟県魚沼市の枝折峠では、山の谷間に溜まった雲が溢れ出し、さながら滝のように流れる「滝雲」が発生する。魚沼市観光協会の公式サイトによると、夜から早朝にかけての時間帯に発生する雲で、中でも気温の差が大きく雲海が発生しやすい秋が観測のチャンスとのことだ。