新型コロナウイルスに関連するトラブル相談の内容に、興味深い変化が生じている。
国民生活センターが2020年9月17日に公表した「新型コロナウイルス関連の消費生活相談の概要(2020年8月まで)」によると、4月はマスクやトイレットペーパーなどの「モノ」に関する相談が大半だったが、8月には多くが給付金にまつわる「カネ」に絡む相談に変化した。友人や職場の同僚から「イケない話」を持ち掛けられたという人も――。
相談件数は4月以降減少しているが
全国の消費生活センター等が20年1月~8月に受け付けた新型コロナウイルス関連の消費生活相談の件数は、合計6万4938件だった。2月以降増加し、4月には1か月で2万1072件を記録。しかし、その後は月ごとに徐々に減り、8月は2404件にまで減少した。
ただ7月と8月は、行政機関などを名乗り、個人情報を聞き出す悪質商法や「特別定額給付金」、「持続化給付金」の詐欺などに関する相談が増加した。
金銭にまつわる相談内容は、公的な機関を名乗ってだまそうとする事例ばかりではない。例えば、友人や職場の同僚から話を持ち掛けられたという相談も。
20代男性は、友人から「弁護士が代理で持続化給付金を申請してくれる」と言われ、収入がない時だったので紹介してもらうことにした。申請に必要な書類を提出したが、良くない行為だと記事で見たため、受け取って良いのか分からない、といった内容だ。
誘いに乗れば罪に問われる可能性が高い
また、30代男性は、職場の同僚に「勝手にお金を振り込んでくれるみたいだから申請してみないか」と誘われ、免許証、銀行通帳の画像を送った。男性が別の友人に相談したところ、持続化給付金の不正受給ではないかと指摘された。同僚にやめると伝えると、「申請代行業者に既に個人情報を渡したので、やめることはできない」と言われたため、どうすべきか、との相談だ。
さらに、若い女性による例も報告されている。
国民生活センターによると、70代の高齢女性の元に「見知らぬ若い女性2人が自宅を訪ねてきた。女性は『姪の知人』を名乗り、『特別定額給付金の給付申請に必要なので通帳を預かる』と言われた」といった相談が寄せられた。高齢女性は信用してしまい、銀行の通帳とキャッシュカードを見せたところ、女性はそれらを持ち去ったという。
国民生活センターは消費者へのアドバイスとして、暗証番号、口座番号、通帳、キャッシュカード、マイナンバーは「絶対に教えない!渡さない!」ようにするよう呼びかけている。また、持続化給付金は事業者に対して支給されるため、受給資格がないサラリーマンが申請・受給することは犯罪行為にあたると考えられる。誘いに乗れば罪に問われる可能性が高い。絶対に応じないようにしよう。