鮎が鵜(う)をパクリ――。「下剋上」を果たしている図がそのまま和菓子になった。140年以上続く和菓子屋「御菓子司玉井屋本舗」(岐阜市)が2019年12月から販売している焼き菓子「下剋上鮎」だ。
ツイッターで、この菓子の写真が投稿されると、そのインパクトに「センスが神すぎるwww」、「どこで買えるの!」と大きな反響があった。J-CASTトレンドは本商品の総合プロデュースを担当した、玉井屋本舗の白木佑典さんに開発背景を取材した。
大河ドラマ「麒麟がくる」放送決定の時期に開発
「下剋上鮎」は、鵜を使って鮎などの魚を獲る伝統的な漁法「鵜飼(うかい)」をイメージした焼き菓子だ。ただ、通常鵜飼は鵜が鮎を飲み込み捕獲するが、この和菓子は逆。鮎が鵜に食いついて「下剋上」している。
開発のきっかけは2018年の末、白木さんが玉井屋本舗の社長から「新商品を自由に作ってほしい」と依頼を受けたことだった。現在放送中のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」の放送が決定した時期。明智光秀の一生を描くドラマであり、光秀の生誕の地・岐阜県にもおのずと注目が集まるだろうとの狙いだったと明かす。
ただ、一時的な流行は追わず、「和菓子に馴染みのない若者にウケる、かつ老舗の伝統を伝えられるように、多くの人に納得してもらえる長くヒットする商品にしたかった」と白木さん。とくに見た目にこだわり、魚や鵜の「ぽけーっ」とした表情をどう形にするか試行錯誤したそうだ。
「店が長良川の近くにあり、そこでは鵜飼が伝統として続いているため、長く続く店や岐阜の伝統へのリスペクトも込めて作りました」