痛ましい事件が起きた。香川県高松市で、6歳と3歳の姉妹が車内に15時間以上放置され、熱中症とみられる症状で死亡したのだ。朝日新聞デジタル2020年9月6日付の記事によると、幼い姉妹を残した母親は車を離れる際、「クーラーをかけていた」と供述しているという。
しかし、たとえ車内でクーラーをかけていても、熱中症のリスクは消えない。
エンジンを停止させて30分で車内は45度に
一般社団法人日本自動車連盟(JAF)は、公式サイト上で、炎天下での車内の温度について説明している。
JAFは実験で、8月の晴天で外の気温35度を記録する状況において、正午から16時までの4時間の車内温度を測定した。すると、窓を閉め切った車両では、エンジン停止から30分で車内温度は約45度に達した。温度はその後も上昇し、15時頃には55度を超えた。車の窓を3センチ開けた状態でも、15時の時点で約45度にまで上がった。
外の気温よりも、車内の方がずっと高温だと分かる。では、短時間であれば車内に子どもを残しても大丈夫か。JAFによると、窓を少し開けた状態であっても、フロントガラスの全面を「サンシェード」で覆った場合でも、脱水症状や熱中症を招く恐れがあるため危険だと警鐘を鳴らしている。
エンジンとまると「ぬるい風」しか出ない
たとえエアコンで適温が保たれていても危ない。JAFの調査では、エンジンを停止させて5分経過した時点で、車内の温度は約5度上昇し、15分後には熱中症の指標である熱中症指数が危険レベルにまで達したのだ。
車のエンジンを停止した状態でクーラーをつけると、どうか。
中古車情報サイト「グーネット」がサイト上に掲載している記事によると、車のエンジンが停止してしまうと、エアコン自体機能しなくなる。そのため、停車中にクーラーを利用する際は、エンジンをかけた状態でないと快適な車内温度を保つ事はできないそうだ。
エンジンがとまっているとクーラーは使用できず、送風となり、ぬるい風が内部に送られることに。扇風機のようにぬるい風では車内温度を下げるのは難しく、熱中症のリスクを高めてしまう、とのことだ。
このように夏場、車内に子どもを放置すれば命の危険にさらすことになる。絶対に避けよう。