「裏アカウント特定サービス」。こんな語句が2020年9月4日、ツイッターのトレンドワードに入った。企業専門の調査会社・企業調査センター(東京都千代田区)が20年9月7日から提供すると発表した、新卒の求職者がSNS上に作成している「裏アカウント」を特定するサービスだ。
同社は発表資料で「コロナ禍におけるウェブ面接の急増に伴い、就活生の人間性がわかりにくくなっている今、徹底したSNS調査を通じて問題社員の採用をあらかじめ排除できるサービス」と説明。だが、ツイッター上には批判的な意見が殺到している。
人間少しくらい「裏の顔だってあるよ」
「プライバシーって知ってる?」
「裏アカウント特定サービスなんてあったら愚痴吐く場所無くなるじゃん」
サービスに否定的なユーザーの声だ。裏アカウントとは、自身がメインで利用するアカウントとは別に、秘密に設ける「匿名アカウント」を指す。メインアカウントには投じにくい本音や愚痴を裏アカウントに流す人が多く、本名で検索して見つからないよう工夫されているケースが多いため、見つけるには時間や手間がかかることがほとんどだ。
「裏アカウント特定サービスなんてやめてあげようぜ。人間少しくらい変なところあるしブラックな部分もあるし裏の顔だってあるよ」とは、ユーザーの意見。ただ、企業調査センターは就活生が「『就活専用アカウント』を作成して自衛」しており、「本来の人間性を隠す傾向にある」と発表資料で指摘している。
ツイッターやめる宣言する人まで
企業調査センターが提供するサービスは、「裏アカウント」を88%の割合で特定可能だという。88%というのは、中途採用の40代後半~50代の「SNSを一切使わない人」も含んでいる数字だと説明しており、「アクティブユーザーの多い新卒世代や30代~40代前半であれば、さらなる高確率で特定できている」と実績をアピールしている。
この確度について、「88%ってことは取り違えが起きるってことか」、「でもこれ100%ではないので冤罪問題があるよなー」との指摘が。また「嘘か本当か...私のアカウント8個以上あるけど全部みつけれるかな?」、「私の場合は裏アカウントしかないから関係ない。表のアカウントが無い」という挑戦的なツイートも散見される。
ただ恐怖感を覚える人の方が多いようだ。「私の裏アカウントも特定されてしまうのだろうか なんて怖いサービスなんだ」、「嫌な時代に生まれた こんなん見つかったら絶対就職できない」。そのほか真偽の程は定かでないが、こんなお別れもあった。
「突然ですが今日でTwitterを辞めます。今までありがとうございました...」
J-CASTトレンドは、企業調査センターに何度か電話取材を試みたが、2020年9月4日19時前には「話し中」となり、つながらなかった。なお同社の公式ツイッターアカウントは同18時過ぎに「え............鯖落ちした.....................すごい...........................」とアクセスの殺到ぶりに驚く投稿をし、公式サイトの接続環境も非常に不安定になっていた。