ウェブ会議ツールのZoomに対して日本企業が、「部長や役員を大きく表示できないか」「上役を画面の上座に表示できないか」と要請していた――インターネット上でかねて流れていたこんな話が、現実になりそうだ。
Zoomは2020年9月1日、ミーティングの主催者が任意にギャラリービュー(参加者全員の顔がタイル状に表示される画面)を並び替えられる新機能「カスタムギャラリービュー」をリリースした。並び替えたビューのレイアウトは、ミーティング参加者の画面にも適用させることが可能だ。これなら会社の「偉い人」を画面上の「上座」にできる......。
「使わないといけないような同調圧力が発生」
ただ、こうした慣習をウェブ上にまで適用することには批判がある。
「Zoomの上座機能はネタかと思うレベル」
日本ブロックチェーン協会代表理事の加納裕三さんのツイートだ。続けて「こういう機能をつけると、使わないといけないような同調圧力が発生してZoomをセットする社員の工数が増える」と懸念をつづっている。
また、実業家・人事コンサルタントで「ブラック企業アナリスト」の新田龍さんも自身のツイッターで、
「本来は『発言者を目立つ位置に配置』するための機能が、日本では『エラい人を上座に配置』として使われ、クソマナーが定着していくわけだな」
と苦言を呈した。
ツイッター上ではこのほかにも「zoomに上座とかの設定とか要らないでしょ」「画面の大きさで扱いの重さを見るような人はウェブ会議なんてしなければいい」など、批判の声が相次いでいる。
機能自体については、「プレゼンとかで発表者を目立たせるのに便利」「簡単に並べかえられるという点は助かる」と肯定的な意見はある。ただ、上役を上座にできるからと喜んでいる声は、調べた限り皆無だった。