近年、豪雨や台風などで道路の冠水や河川の氾濫が相次いでいる。車の運転中や避難途中で水害に巻き込まれることも考えられる。
もし車に取り残されたまま、水没しそうになったらどう脱出すれば――。
「脱出ハンマー」車に積載している人は約2割
独立行政法人国民生活センターは、万一の水没事故への備えとして「自動車用緊急脱出ハンマー」の重要性について、公式サイト上で説明している。
自動車が一定の深さまで水没すると、車のドアに水圧が加わり、開けることが困難に。閉じ込められた際、車内から脱出するに有効なのが、ドアのガラスやサイドガラスを粉砕できる自動車用緊急脱出ハンマーだ。
あらかじめ、自分の車でどの部分のガラスがハンマーで粉砕できるのか確認しておこう。運転者がシートベルトに拘束されて身動きが取れなくなっても使用できるよう、手の届くところに設置して常備するよう、国民生活センターは呼びかけている。
一方で、センターが消費者5000人を対象に行ったアンケート調査では、緊急脱出ハンマーを知っている人のうち、自動車に積んでいる割合は約2割にとどまった。自動車用緊急脱出ハンマーが備わっていない車内で水没しかけたら、脱出法はあるのか。
ドア内外の水圧差が少なくなると開けられることも
国土交通省が運営するサイト「自動車のリコール・不具合情報」では、「水中に転落したときの脱出方法」を紹介している。
これによると、水没したら、窓が水面より上にあるうちに、シートベルトをはずし、窓ガラスを開けて脱出する。電動式窓ガラスでも開かないとは限らないため、とにかく開けてみることが大切だ。
しかしハンマーがなく、ガラスが割れず、窓から逃げられない場合は、ドアを開けて脱出するしかない。車内に水が流れ込み、ドア内外への水圧差が少なくなると開けられるそうだ。状況を考えると、心理的にはかなり怖いと思われるが、
「車室内の水面が胸か首にくるまで待ち、大きく息を吸い込んでからドアを開け脱出します」
とある。
中古車検索サイト「グーネット」も、公式サイト上で「車が水没した時の対策と対処法」を紹介している。
車が深く水没し、ハンマーを積んでいない場合は「てこの原理」を利用するよう勧めている。背もたれの上部の枕状の部分「ヘッドレスト」を取り外し、そのシャフト部分を窓ガラスの隙間に差し込み、てこの原理で手前に引くと、窓ガラスが割れるという。
しかし、どの場合であれ、万一に備えてハンマーを常備しておくに越したことはない。