「うちタワマンの割と上の方で蚊とか蛾とか全然飛んでこなくて快適なんだけど、ベランダの網戸でツクツクホーシがめっちゃ鳴いてる」
「地上100メートルの我が家に飛び込んできます」
セミにまつわるこんな悲鳴がツイッター上にあふれ返っている。タワーマンションはじめ建物の高層階に住んでいても、セミが襲来し爆音で鳴き続けるのだ。
マンション30階近くでも逃れられない
LIXILリアルティ(東京都中央区)の公式サイト内にあるコラムには「セミなどの大型の昆虫は6階くらいの高さまでは飛べないと言われている」とある。
ただ不動産売買仲介業の東京住宅流通センター(東京都調布市)は18年4月9日付記事「タワーマンション高層階の風や虫事情とガーデニングについて」で高層階への虫の飛来頻度は「かなり少なくなります」と説明しており、ゼロではないようだ。書き手の体験談として「マンション30階近くに住んでいた時には、ベランダにセミがいたことがワンシーズンに何度かあり」と紹介しており、「周辺環境にもずいぶん左右される」と結んでいた。
神奈川県在住の男性はマンションの30階に住んでいるが、「毎年セミがやってくる」と話す。2020年8月21日だけでも、セミが2度もベランダに飛来し、けたたましく鳴き始めたため追い払ったそうだ。「在宅勤務中に至近距離で『ミーンミーン』と鳴かれると......」とうんざりした様子だった。
上昇気流の助けを借りて飛んできた?
海外に目を向けると、「地上から数百メートルの高さでセミを見つけた」という驚きの事例がある。オープンドア(東京都港区)が運営する旅行比較サイト「トラベルコ」内の「特派員ブログ」が12年7月に投じた「上海ワールドフィナンシャルセンター94階の展望台に行った時、セミが94階の壁にとまっていた」とする目撃談だ。同ビルは最上階が101階、高さ492メートルのため、もし本当なら相当な高さにセミが止まっていたことになる。
同ブログでは、中国における科学技術の最高研究機関「中国科学院」上海昆虫博物館の殷海生氏の見解をこう紹介している。
「セミの飛行高度は普通は10数メートル~数十メートルの間で、こんな高くまで飛ぶのは珍しい。
陸家嘴地区(編注:上海にある金融街)には高いビルが多く、時々上昇気流が発生し、風力も大きいため、きっとこのセミはこの気流に助けを借りて飛んできたのでしょう」