新型コロナで「従来のやり方変えねば」 来日18年、中国人IT社長の挑戦は続く

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日本でマスク不足、中国で調達し社員や取引先に配布

   新型コロナウイルスの感染拡大は、世界経済に大きな打撃を与えた。鄭さんの会社も、事業の上で少なからず影響があった。その中でも、経営者として社会の責任を果たそうと努めた。

   2020年初め、中国・武漢が深刻な状況に陥ったころ、支援のため日本から現地へマスクを送った。ところがその後、3月以降になって今度は日本でマスク不足となった。そこで中国での調達ルートを確保し、破格の安値でインターネットを通して日本国内向けに販売。あわせて社員や顧客、取引先に配布した。4月には、神奈川県箱根町に3000枚を無償で寄付した。当地の温泉ホテルを購入するなど、縁の深い街だ。

「当時、皆さんはマスクが手に入らず困っており、喜んでいただけました」

   鄭さんは今後、日本国内での支援を会社として拡充していくことを考えている。例えば日本赤十字社や関係団体と連携して、高齢者やコロナの影響で生活に困っている人に向けた暮らしのサポートを構想している。具体化は今後だが、「会社は日本社会の一部ですから、その恩返しとして貢献していきたい」と意気込む。

   新型コロナの勢いは、いまだに止まる気配がない。本業のIT事業ではかなりのダメージを受けたと鄭さんは明かす。だからこそ、こう考える。

「コロナが世界を変えた。従来の考え方・やり方も変えなければなりません」。

   その一つが、在留中国人や中国に興味のある日本人を主な対象とする旅行・ショッピングサイト「Trip7.co.jp」の運用だ。これまで培ってきたシステム開発のノウハウを生かしたという。「コロナ後」を見据えた新展開だ。

   もともと日本の先端技術に魅力を感じて留学した鄭さん。今も、日本の「匠」の技に関心を持っている。「中国にはまだ、知られていない日本の優れた職人文化があります。これをもっと中国にPRしていきたい」と考えている。

(J-CASTトレンド 荻 仁)


   日本に住む中国出身者の数は、2018年末時点で76万4720人。台湾出身者を合わせると83万人に迫る(法務省調べ)。日本社会に根付き、活躍する中国人は少なくない。J-CASTトレンドではこうした人の取材を軸に、「私たちのすぐ近くの中国」を見ていく。


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