将棋の藤井聡太「二冠」が誕生だ。2020年に8月20日に八大タイトルの1つ「王位戦」を制して、棋聖に続き王位を獲得。さらに八段に昇段した。いずれも史上最年少記録更新だ。
その人気から、これまでクリアファイルや卓上カレンダーをはじめさまざまな「藤井聡太関連商品」が販売されている。中には本人が監修した将棋ゲームもある。「藤井フィーバー」によって、商品の売れ行きも絶好調か。
「棋聖」タイトル獲得後に初回生産分が売り切れ
2020年3月5日に発売されたニンテンドースイッチ用ゲームソフト「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」は本人が監修した、日本将棋連盟公認の将棋トレーニングゲームだ。初心者向けで、駒の動かし方や戦法、定跡など将棋の基礎を楽しく、本格的に学べる内容になっている。
販売元のゲームスタジオ(東京都港区)に取材すると、担当者が「藤井先生が『棋聖』のタイトルを獲得した直後はパッケージ版が品切れになりました」と答えた。初回生産分が一時売り切れになったというが、現在はまた同数を追加生産して需要に応えている。今週分の売り上げは現時点では不明だが、担当者は「おかげさまで売れ行きは順調です」と藤井二冠に感謝の様子。同時に、開発当時のエピソードを明かした。
「このゲームは元々、藤井先生ありきの企画ではありませんでした。開発当時は四段で、29連勝記録を打ち立てて世間の注目を集めていた頃。無理を承知で、日本将棋連盟を通じてゲーム内のガイド役を依頼したところOKをいただけた次第です」
「探究」と筆で書かれた扇子に「転売禁止令」
藤井フィーバーの波は「将棋グッズ」にも及んでいるのか。碁盤・将棋盤制作の三輪碁盤店(名古屋市)に昨今の販売状況を聞いた。
担当者は「ここ最近というより、藤井二冠が七段に昇段した2年くらい前の方がよく売れました」と答えた。それまでは「囲碁8割~9割、将棋が1~2割」だった商品の売り上げが逆転したという。今の将棋グッズは当時に比べれば「3分の1」程度の売れ行きだそうだが割合に大きな変動はなく、依然として売り上げをけん引しているという。また、
「2年前は比較的購入しやすい、初心者向けの折り畳み式の将棋盤セットがよく売れましたが、最近は、より高価な将棋盤が売れるようになっています。かつて将棋を始めたばかりだった人たちが今なお指し続けていて、新たに本格的な将棋盤を買い求めてくれているのかもしれません」
と、ささやかな変化を感じていることを明かした。藤井二冠の誕生で将棋ファンがさらに増え、将棋盤の売れ行きもアップ、となるかもしれない。
楽天市場にある「日本将棋連盟デジタルショップ」で展開中の「藤井聡太関連商品」のラインアップを見るとアクリルキーホルダー、湯呑、リングノートなどがある。「探究」と筆で書かれた扇子やオリジナル丸型缶マグネットが売り切れになっており、特に扇子はショップの商品ランキング1位の扇子は「転売用目的によるご購入はご遠慮ください」と太い赤文字で注意書きが添えられていた。人気のほどがうかがえる。