心の免疫力 松浦弥太郎さんは二つの「指差し確認」で不安と向き合う

富士フイルムが開発した糖の吸収を抑えるサプリが500円+税で

クウネル世代の所作

   全ページのほぼ8割を埋めるこの特集について、編集部は冒頭でこう触れている。

〈未知のウイルスの登場で、暮らし方、働き方がガラリと変わりました。いままでとはちがう生活様式が求められることも多々ですが、過度に不安になる必要はありません。基本的なルールは守りつつも、暮らしの根幹は揺るがすことなく、自分なりの心地よさを大切に穏やかに、安らかに暮らしていきたいですね〉

   なぜそんな特集をいま組むのかといえば、同誌の主たる読者層が〈年を重ね、経験を積み、「私らしさ」が確立されている...だからこそ、暮らしを気持ちよく整える術を熟知している〉中高年だからである。

   つまり「読者の皆さんには釈迦に説法となるが、何かと不安なコロナ後も蓄積を生かし、自信を持って生きましょう!」というエールだと読んだ。

   エッセイストの松浦さんは「暮しの手帖」の元編集長。同世代かと思いきや、私より9歳も若い。「自分や他人、社会に期待し過ぎない」などと言われると、つい「そんなに老成しちゃダメ」「社会には期待しましょう」「納税分くらいの権利は主張しようよ」と言いたくなる向きもあろう。私もその一人なのだが、鎧をつけてガシャガシャと世を渡るより、柳に風でいくほうが長持ちするのかもと、ここは「全肯定」でやりすごした。

   それがクウネル世代の所作なのだろう。編集部や執筆陣、固定読者...テレビやネットと違い、閉じてはいるが内部では心地よいという、雑誌ワールドがそこにある。

冨永 格

冨永格(とみなが・ただし)
コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。

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