「猛暑」、「酷暑」では表しきれない、想像を絶する暑さが世界各地で観測されている。
米カリフォルニア州デスバレーでは2020年8月18日に54.4度を、イラクの首都バグダッドでも7月28日に51.8度をそれぞれ記録した。デスバレーの54.4度は、13年7月10日に同地で観測された「世界最高気温(56.7度)」に続く2位だ。
日本でも、40度台を観測する地点が続出している。8月17日に静岡県浜松市で41.1度を記録し、国内最高気温に並んだ。それまで単独1位だったのは埼玉県熊谷市。意外だが、温暖な九州・沖縄地方が首位ではない。
陸地は温まりやすく冷えやすい
気象庁「歴代全国ランキング」を見てみよう。最高気温の高いトップ20の顔ぶれの中にも、九州・沖縄地方はない。ランクイン回数の多さで見ると、4回(新潟、群馬)、3回(岐阜)、2回(山形、埼玉、静岡、山梨、愛知)、1回(東京、和歌山、高知)と、関東甲信越地方が目立つ。なぜなのか。気象庁に取材すると、担当者は地形の特色を挙げた。
「海岸から離れた位置に平野部や盆地があり、また周囲(西側及び北側)が山地に囲まれているため、条件が合致すれば最高気温が上昇しやすいと考えられます。逆に、沖縄などは、特に陸地の広がり(海岸からの近さ)といった点で、夏季の最高気温があがりにくいと考えられます」
基本的に「海は温まりにくく冷えにくい、陸地はその逆で温まりやすく冷えやすいといえる」。そのうえで夏季の最高気温に影響を与える要素としては、「日射による日中の気温上昇の影響」が最も大きいと考えられるが、「海風の影響や山越え気流による影響」などもある。日中、陸地で気温が上昇すると、海から陸に向かって風が吹く(海風)が、内陸はその影響を受けにくいため気温が上昇しやすくなるのだ。