「ギブアウェイ詐欺」
衣料通販サイト運営会社「ZOZO」創業者で実業家の前澤友作氏が、ツイッター上でフォロワー向けに頻繁に行っている「現金配布」企画が、思わぬ語句と共に注目を集めた。ニュースサイト「ITmedia(アイティメディア)」が2020年8月12日付記事で、前澤氏に成りすまして金銭をだまし取るギブアウェイ詐欺が6月末に発生したと報じ、同氏もこの記事を引用RTで拡散したためだ。
「公的機関等を名乗って金銭の要求」すぐ応じない
記事によると詐欺内容は「指定した額(今回は暗号通貨)を振り込めば、数倍にして返す」とうたって振り込ませ、実際には返さずにそのまま盗むというもの。ツイッターには「知らなかった」、「このネット社会、次々と特殊詐欺出てくる」など驚きと不安の声が上がっている。
確かに新手の詐欺手口は、ギブアウェイ詐欺以外にもある。
兵庫県警察の公式サイトに、時事問題と絡んだ興味深い事例を見つけた。「令和2年7月豪雨」災害に便乗した不審電話が発生しているという。7月初旬、九州地方を中心に大規模な豪雨災害が発生した。これを使って、公的機関や熊本災害支援機構をかたり、以下のようなフレーズで金融機関の口座情報をしつこく聞き出そうとしてくる。
「熊本災害支援機構に個人情報が漏れており登録されている」
「あなたの名前を使って、高額寄付をされている」
「税務署の調査が入り、このままではあなたが訴えられる」
「まとまった現金を引き出して、自宅保管してほしい」
兵庫県警は対策として、「公的機関等を名乗って金銭の要求や募集、勧誘等があってもすぐに応じないこと」を念頭に、(1)相手が実在する団体や職員であるかを確認する、(2)自宅電話を常時留守番電話設定にし、相手や内容を確認してから折り返し電話するよう勧めている。一人ですぐに判断せず、家族や警察に相談することも大切だ。
新型コロナウイルスに便乗した悪質商法も深刻だ。国民生活センターが公式サイトで公表した「受給資格がない人に持続化給付金の不正受給を持ちかける手口」への注意喚起について、J-CASTトレンドも7月13日付記事で取り上げている。
特殊詐欺認知件数は減少も油断禁物
東京都都民安全推進本部が公式サイトで公表している「特殊詐欺認知状況」によると、2019(令和元)年12月末の特殊詐欺認知件数は2841件と、前年同期比でマイナス1072件。最新の2020(令和2)年の5月末の特殊詐欺認知件数は1202件、同マイナス420件と、件数自体は減少傾向だ。
ただ、20年の5月末「特殊詐欺被害手口別内訳」をみるとキャッシュカード詐欺盗(編注:警察官や金融機関職員になりすまして、キャッシュカードをだまし取る手口)、融資保証金詐欺、ギャンブル詐欺などは前年比で増えている。油断はできない。