コロナで充実生活? 小林聡美さんは気張らず機嫌よく、早寝早起き

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やっぱり「独り」に強い

   コロナ禍で経済活動が世界的に停滞し、皮肉なことに大気や水質が少しきれいになった。温暖化をもたらす二酸化炭素の排出も抑えられ、地球はちょっぴり健康的になった。とはいえ、日常生活の現状を前向きにとらえた文章は例外的である。

   10時就寝、5時起床という生活。実は9歳上の私とほぼ重なる。前から在宅が多いのも同じ。それゆえ気分転換の散歩は重要で、私もよくやる。健康的な生活習慣により、小林さんは体の芯が鍛えられたという。冨永もこの春、3カ月で5キロの減量に成功した。

   時速5~6キロの速歩と、1日おきの休肝日を習慣化した成果で、指導を仰ぐ管理栄養士に褒められた。コロナ太り、狂った生活リズムといった話を聞くたび、逆に規則正しくなった自分は変わり者だと思っていたが、小林さんのような人もいるのである。

   作中、印象に残ったのは「私が普段そこはかとなく感じている不安や孤独を世界全体が共有しているという、不思議な一体感」なる表現だ。独り(+猫)暮らしと同様同等の寂しさを皆が感じているのでは、という安心感だろう。

   そして、外部と刺激し合うより「自分の暮らしをじっくり楽しむこと」に重きを置いた小林さん。ここまで自己を客観視できる人は、孤独に(も)強いのだと思う。ワイワイガヤガヤも嫌いではないようだが、最後は〈やっぱり猫が好き〉なのだ。

冨永 格

冨永格(とみなが・ただし)
コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。

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