2020年8月6日、広島は原爆が投下されてから75年目の「原爆の日」を迎えた。同日の午前8時に執り行われた「原爆死没者慰霊式・平和祈念式」では、原爆が投下された午前8時15分に参列者一同が黙とうを捧げた。
「慰霊碑巡り」や千羽鶴の奉納
この日は毎年、広島市内の小・中学校などで「平和学習」というカリキュラムが行われるのが通例だ。子どもたちは「平和学習」を通じて何を学ぶのか。J-CASTトレンドは広島市中区の平和記念公園内にある広島平和記念資料館(以下、資料館)に取材した。
資料館啓発課の新田智則さんは、「各学校によって『平和学習』の内容には多少の差異がある」としたうえで、その中でも広く一般的に行われているものとして「被爆経験者の人たちの話を聞く」ことを挙げた。加えて、資料館内部の見学や、平和記念公園内の慰霊碑や原爆に関するモニュメントなどを巡る「慰霊碑巡り」も、多くの学校で行われているという。
「このほかにも、平和や原爆をテーマにしたアニメ・記録映画などの鑑賞会や、若くして原爆被害により亡くなったとされる佐々木禎子さんの慰霊碑に千羽鶴を奉納する、といった活動なども行われています」
被爆経験者に代わる「被爆体験伝承者」育成も
学校だけでなく、広島市や資料館でも「平和学習」に関する取り組みを行っているという。
「私たち資料館が講師を養成し、学校などへ派遣する『平和学習講座』制度もあります。派遣された講師は、原爆投下までの経緯や原爆の仕組み・被害の大きさ、現在の世界での核の状況といったことを分かりやすく伝えます」(新田さん)
また、2012年からは広島市役所主導で、年々減少している被爆経験者の人々に代わって当時のことを伝え聞かせる「被爆体験伝承者」の育成も行っている。有志のボランティアが3年ほど被爆経験者に師事し、被爆経験について勉強する仕組みだ。