ウェイボーで250万フォロワーを抱える
曾さんの祖父は、米国でIT企業の経営者だ。各国から人材が集まる米国で、祖父は特に日本人を高く評価していたという。「ビジネスの面で信頼できるのは日本人」だとしばしば聞き、成長するにつれて曾さん自身も日本への興味が増していった。
2010年に来日し、日本語学校で学んだのちに早稲田大学に進学、大学院ファイナンス研究科で学んだ。居酒屋でのアルバイト経験や留学生活を基にウェイボーで漫画を描き、人気に。知名度がアップすると、ネット上で商品プロモーションや日本の観光案内動画を中国向けに配信し、中国人インフルエンサーとして活動の場を広げていった。2016年には、都内で現在の会社を起業。自らはウェイボーで約250万フォロワーを抱えるKOL(Key Opinion Leader)として情報発信を続ける傍ら、新たなインフルエンサーの育成とマネジメントに力を入れている。
「留学中には、日本の人にお世話になりました」
当時を振り返る曾さん。2011年の東日本大震災では、被災地の状況を中国の大勢のフォロワーに伝えようと、ウェイボーでその様子を動画で流し、「こういう状況だからこそ、お互いに団結しよう」という気持ちを訴えた。「ライブ配信で復興の様子を映した時は、フォロワーからは、『日本の皆さんの、復興へ向かう力に感銘を受けました』といった多くの声が寄せられました」。日本の在住期間が10年となり、曾さん自身、自分の中に「日本人的な視点」が加わってきたと感じるという。