「世界を変えるのは、いつも『新人』なのだ」
一方、「謝辞」を読むと、この本の成立に、星海社の名編集者として著名な柿内芳文氏が関わっていることがわかる。
この柿内氏を編集担当とする、瀧本哲史著「2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義」が星海社新書の1冊としてこの春に発行されている。エンジェル投資家としても実績を持ち、客員准教授として、京都大学で人気講義を行いつつ、次世代の教育に力を注いでいたが、2019年8月に享年47歳で死去した。本人は死ぬ前に「無念」だと言っていたという。この8月10日に1周忌を迎える。
瀧本氏の「君たちは、自分の力で、世界を変えて行け! 僕は日本の未来に期待している。支援は惜しまない」という熱いメッセージのこの本を、沖縄の10代、20代の若者にもぜひ読んでもらいたい。パラダイムシフトとは世代交代だ、という。沖縄、あるいは日本の閉塞も、「世代交代」で変わりうるということなのだ。
この本の巻末で紹介されている、柿内氏が編集を担当した星海社新書「武器としての決断思考」(ブキケツ 2011)、「武器としての交渉思考」(ブキコウ 2012)も見逃せない。「正解ではなく『最善解』を導き出そう」、「『異質なもの』『敵対する相手』とも結びつくことで。大きな変化を起こせ」という。ブキコウの最後で、「私は今という時代は、ひとりひとりの人間がそれぞれの現場で「自分の宿題」を見つけて取り組むべきときを迎えていると思います」という。著名な投資家ジム・ロジャーズのいう、他力本願ではない「DO YOUR HOMEWORK」だ。
2015年、瀧本氏は、全国の中学校を飛び回り、21世紀に生まれた最初の世代である「14歳の君」にむけたメッセージを届けた。それをまとめた本が「ミライの授業」(講談社 2016年)である。ここでは、世界を変える旅は「違和感」からはじまる、から、ミライは「逆風」の向こうにある、までの「ミライをつくる5つの法則」がたくみに紹介されている。「古い世代の人達に世界を変える力はない。世界を変えるのは、いつも『新人』なのだ」という言葉の重みをあらためてかみしめる。
経済官庁 AK