梅雨が長引いている。2020年7月20日には奄美地方の梅雨明けが発表されたが、統計開始以来最も遅い。
長雨に加え、今年は気温の低さも特徴だ。7月18日には気象予報士・杉江勇次氏が「東京都心は1993年大冷夏以来の低温記録」と記事で指摘。ツイッターにも「もし冷夏となると、お米が心配」と、コメ不作を懸念する声がいくつも上がっている。
低温と日照不足で記録的なコメ不足に
そもそも「冷夏」とは。気象庁の公式サイトには「夏(6~8月)の平均気温が3階級表現で『低い』場合」とある。例えば「季節平均気温が『かなり低い』夏、あるいは顕著な冷害が発生した夏、またはそのおそれがある夏などに対して用いる」語句だ。
「大冷夏」として取り上げられた1993年は、沖縄・奄美地方を除いて梅雨明けの日時が気象庁の公式サイトに記録されていない珍しい年。
気温の低さに加え、日照不足の影響で「平成の米騒動」が起きるほど、著しいコメ不作を記録した。前年産を274万トン下回る783万トンしか収穫されず、スーパーやコメ店などあらゆる場所からコメが消え、政府が海外から急きょ輸入するほどの事態に。農林水産省の公式サイトに、次の記録が残っている。
「その年の在庫も23万トンしかなく、お米の安定供給の確保という観点から海外から約259万トンを緊急輸入したことがあります」
このため同省では備蓄制度を設け、国産米を安定的に供給できるよう年間100万トン程度を基本に、コメ不足に対して備えている。冷夏が人々の生活を直撃した、顕著な例と言えるだろう。